研究課題/領域番号 |
23510206
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研究機関 | 東邦大学 |
研究代表者 |
横井 郁子 東邦大学, 看護学部, 教授 (90320671)
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キーワード | 安全情報 / 環境整備 / 医療安全 / 情報想起 |
研究概要 |
まず,新病院改築を控え,病院環境について検討を始めた病院を対象に調査を行った.対象は看護管理者(病棟師長)および医療安全管理者(副看護部長)である.協力を得られた病院は2つでどちらも500床以上を有する急性期の病院であり,現在の病棟内,ベッド周辺にある情報表示について改築を機会に検討している状況であった.対象者それぞれと約1時間面接調査を行った.半構成的面接とし,内容は患者のニーズの中で迅速な対応が重要とされるものは何か,迅速な対応のために行っている工夫,または忘れやすい情報,さらに患者・家族の理解が難しいものについてである.結果は患者の具体的な生活支援に関することが多く抽出された.具体的には介助を要する食事,排泄,動作への対応である.さらに患者・家族は必要な生活制限を忘れる,または介助を明確に求めてこない現状があることが指摘されていた.このような現状から,看護管理者がスタッフに求める迅速な対応には要求を「待たせない」ということと,明確に表現されない要求に「気づく」とことを期待していることが示唆された.詳細な分析はこれからである. 上記の調査と平行して,医療施設でのコミュニケーション支援ツールとして開発された医療看護支援ピクトグラムを導入した病院に対し,その有用性,とくに患者・家族への迅速な対応への有用性について調査を行った,対象は上記と同様,看護管理者と医療安全担当者である.協力が得られた病院は3つであり,500床以上を有する急性期の病院である.調査方法はグループインタビューとした.患者の入院期間が短縮されていること,看護師が継続して同じ患者を受け持つことは困難であることなどから,ベッドサイドに患者の支援情報が表示されていることは有用であることが示唆された.こちらの詳細な分析もこれからである.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現地調査が終了し,分析,まとめの段階を迎えている.
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今後の研究の推進方策 |
2種の調査の結果を分析し,関連性を含め検討する.その上で急性期医療という環境における情報の想起に関するモデルを開発する.迅速な対応には「患者の求めを待たせない」というものと「明確に求めてこない患者のニーズに気づく」という2つがあるのではないかと現時点で考察している.とくに後者においては高齢社会を迎え,物忘れ,認知機能に問題を有する患者が増えることが予測される現在においては,重要な視点ではないかと考えている.そのような点もふまえながらモデル開発を行っていく予定である.
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次年度の研究費の使用計画 |
24年度は面接調査に関する旅費支出を抑えることができ,未使用額が生じた.25年度は,開発したモデルの検証として調査に協力をいただいた対象者にモデルに対する意見をいただきたいと考えている.これら未使用額と合わせてそのための旅費,報告書の作成等に研究費を使用する予定である.
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