近年の情報通信技術の発達にともない自動車に搭載した装置によって同乗せずとも運転者の運転行動を取得して記録したり、通信で車外の管理者に通知したりすることが可能になってきた。そこで、人の認知特性の研究に基づいた安全運転理論に基づいて、安全運転管理教育システム(Assistant System for Safe Driving by Informative Supervision and Training:ASSIST)の開発を行っている。ASSISTは、道路側の基盤整備に頼らず、運転行動の把握のためには、GPS、速度センサ、車間距離計、CCDカメラを用いる。また、人が介在したほうが、教育効果が高いことが予想できるため、危険の判断は自動化するものの助言・警告まで完全に自動化するのではなく、管理者による教育という形をとる。主な教育内容は、事故件数の多い追突事故と出会い頭事故の防止を対象としている。 25年度は、運転者への教育に用いる安全運転評価シートを表示するWeb版の管理者用ソフトウェアの開発とその評価を行った。また、従来使用していたレーザレーダ距離計の入手が困難となったことから画像処理方式の車間距離警報装置を車間距離測定用にシステムに組み込んだ車載システムの開発を行った。 研究期間全体としては、運転者識別のための装置及び画像処理方式の車間距離計測を行う車載システムの開発、音声による助言警告を行うためのソフトウェアの開発、Web版の管理者用ソフトウェアの開発と評価を行った。 本研究によって、実用化が容易で高い教育効果が期待できる安全運転の管理教育システムの枠組みを明らかにすることができた。
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