研究概要 |
本研究は,廃棄物固形燃料の貯蔵・保管時に起こるくん焼・有炎燃焼・爆発の関連因子を,燃料に内在する細菌叢の分布および機能別遺伝子と関連づけ,従来の熱的特性に生物学的特性を加味した廃棄物燃料あるいはバイオマスの貯蔵・保管時における危険性評価および燃料化・貯留・搬送設備の火災安全対策に関する科学的データの提供と提言を目的としている. 現在,三重県で製造されている廃棄物固形燃料について5箇所の産地別にサンプルを収集した. メタゲノム解析により産地別の微生物種類について水素産生菌と非水素産生菌を同定した結果,水素産生菌の割合は,未培養の場合では,桑名33.9%,香肌11.4%,海山13.7%,浜島1.8%,さくら28.8%であった.また,3日嫌気培養した場合では桑名61.2%,香肌98.1%,海山65.4%,浜島20.0%,さくら61.9%であった. バイアル瓶を使った培養実験で, 環境条件を変化させた場合の水素発生量等の変化を調べた. 桑名とさくらの培養時間毎の水素,酸素,pH およびその際の廃棄物固形燃料に生息する好気性菌と嫌気性菌の生菌数を測定した. pH と酸素の減少の傾向は良く一致していること,水素産生に要する時間にはpH が大きな影響を与えること,好気性菌は急激な酸素減少近くで菌数のピークを迎えること,嫌気性菌は水素濃度の急激な増加の際菌数のピークとなることがわかった. 同培養条件でサイズの異なる3種類の容器に廃棄物固形燃料を入れて実験を行いスケール効果を調べた.培養開始50~80時間で最高温度に到達する.廃棄物固形燃料100gで38.1℃,750gで51.6℃,1500gで57.7℃と容器サイズが大きいほど最高到達温度が増加することが分かった.また.容器内最高到達温度は,外挿法により推定した場合,10kgで75℃,100kgで95℃に達することが分かった.
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