研究課題/領域番号 |
23510215
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研究機関 | 公益財団法人ひょうご震災記念21世紀研究機構 |
研究代表者 |
阪本 真由美 公益財団法人ひょうご震災記念21世紀研究機構, その他部局等, 研究員 (60587426)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 国際情報交流 / インドネシア |
研究概要 |
震災障害者に関する既往研究のレビューを行うとともに、阪神・淡路大震災による障害者の実態調査の結果を踏まえて、震災障害者研究の分析枠組みの確立を試みた。また、開発途上国における震災障害者の実態調査をインドネシアで実施した。 まず、災害により障害を負った人の定義については、既往研究の分析を通し「自然災害による生活機能に障害を負った人」とした。日本では「災害障害者見舞金」という、災害障害者に一時金を提供する救済制度がある。しかしながら,阪神・淡路大震災による障害者の実態調査からは,同制度では救済されない障害者が多数いること,また,それらの障害者は心身機能の低下のみならず,生活機能全般における課題に直面していることが明らかになった。それら災害障害者の生活再建には、救済措置の適応範囲の拡大に加えて、生活機能の低下を予防する措置と、受傷後、障害者として認定されるまでの間の支援の拡充が重要であることを提示した。なお、研究の成果は「災害障害者の実態と支援・予防策の提案」として論文にとりまとめ学会にて報告を行うとともに、同学会の学術誌に査読論文として掲載された。 次に、開発途上国の障害者については、インドネシアにおいて、2006年5月27日に発生したジャワ島中部地震災害による障害者の実態を把握調査を行った。2011年8月20日~8月29日までインドネシアにおいて事前調査を行い、調査先・調査実施方法について、研究協力機関と確認した。その後、事前調査にて明らかになった事項を含めて、調査票を作成し、2012年2月7日~30日にかけて、インドネシア調査員とともに、ジョグジャカルタ特別州にあるバントゥール県に在住の障害者50名に対して質問票に基づく調査を実施した。開発途上国における地震災害においては、障害者の数が多いことに加え、生活再建を支える制度的枠組みが整っていないなどの課題がみられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
既往研究のレビューとそれに基づく研究分析枠組みの策定、論文発表、開発途上国における調査などいずれもほぼ予定通りに研究を進めることができている。
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今後の研究の推進方策 |
第一に、開発途上国における障害者については、平成23年度にインドネシアで行った調査結果を解析し、震災障害者の生活再建状況を明らかにする。また、生活再建を支援する制度については、これまで主に保健省を中心に検討していたが、昨年度の調査の結果、社会福祉省を通した支援の存在が確認されたことから、社会福祉省による支援についても把握し、公的支援により生活再建が実現できた部分、できなかった部分を明らかにする。分析結果は、論文などにとりまとめるとともに、学会で報告する。 第二に、地震に加えて津波災害の被災地においても、震災障害者の実態把握調査を行い、災害の種類(津波・地震)に応じた障害者の特性を把握する。具体的には、2004年のインド洋津波災害で被害を受けたインドネシアのアチェで調査を行い、障害者の生活再建をめぐる課題の把握に努める。 最後に、東日本大震災による災害障害者の実態把握については継続的に情報収集を行う。東日本大震災においては、避難所生活において生活機能が低下する人がいた。これら被災者の生活再建支援がどう行われたのか、また、それにより被災者の生活再建が実現できるのについて検討してく。
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次年度の研究費の使用計画 |
インドネシアにおける震災障害者の実態把握調査、東日本大震災における調査を行う。また、インドネシアの調査結果はとりまとめ、可能であれば、2012年11月にインドで開催される第一回世界CBR(地域に根差したリハビリテーション)学会にて報告する。
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