研究課題/領域番号 |
23510215
|
研究機関 | 公益財団法人ひょうご震災記念21世紀研究機構 |
研究代表者 |
阪本 真由美 公益財団法人ひょうご震災記念21世紀研究機構, 人と防災未来センター, 主任研究員 (60587426)
|
キーワード | 国際研究者交流 |
研究概要 |
平成24年度は、インドネシアで起こったジャワ島中部地震(2006年)の被災地ジョグジャカルタ、インド洋津波(2004年)の被災地のアチェで災害により障害を負った震災障害者の生活再建に関する調査を実施した。 ジョグジャカルタでは、ジャワ島中部地震災害において被害が大きかったバントゥール県の二地区(イモギリ地区、ジェティス地区)を対象に、質問票に基づく調査を実施した。調査の結果、地域では、地震災害により障害者数が二倍になっていることが明らかになった。また、震災障害者は、障害を負ったことにより健康を失うのみならず、住宅を失う、職業を失うというように多様な生活困難に直面していた。 一方、インドネシアではこのような震災障害者に対する行政の支援制度は脆弱である。インドネシアでは、障害者支援法が1997年に制定されている。同法に基づき、2006年からは、障害者(震災障害者のみではない)に対して、月額30,000ルピア支給されている。しかしながら、予算制約により同法が適応されているのは、938名のみであり、すべての障害には行き届いていない。行政による支援の課題を補完していたのが、NGOなどによる支援であった。なかでも、身体障害者に対するリハビリテーションの機会はNGOからの支援によるものが中心であった。 震災から6年が経過し、震災障害者の生活再建状況をみると、新たに雇用された人、自営で事業を開始した人が半数を占めており、また、地域社会での行事などの参加率も66%程度を示しており、社会参画の機会が増えている。その一方で、依然として16%近くは、社会参画に対して否定的な状況であり、これらの障害者を含むかたちでの生活再建が望まれる。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年度に予定していた、インドネシアにおける調査(ジャカルタ、アチェ)は計画通り終了した。ただし、アチェの震災障害者については、質問票にもとづき調査に予定していたよりも時間を要した。そのため調査結果の解析については次年度ひきつづき行う。 なお、昨年度の研究成果については、2012年11月にインドで開催された第一回世界CBR(地域にねざしたリハビリテーション)会議で報告した。
|
今後の研究の推進方策 |
今年度は最終年度であることから、研究成果の総括を行い、開発途上国の震災障害者研究の制度的枠組みの構築につとめる。 まず、昨年度実施した、アチェの調査結果の解析を行う。 次に、ジョグジャカルタの解析結果とアチェとの解析結果を比較検討し、インドネシアの震災障害者支援制度の枠組みを明示するとともに、その課題を明らかにする。 そのうえで、阪神・淡路大震災の障害者支援制度と比較検討し、震災障害者支援をめぐる支援制度とその課題、そしてそれをどのように改善するのかを示す。研究成果は論文にとりまとめ国内外で発信する。
|
次年度の研究費の使用計画 |
今年度については昨年度調査が難しかった開発途上国の調査を実施する。(2010年のハイチ地震による震災障害者の調査を検討中)また、これまでの調査結果について分析、比較検討し、その結果を学会などで発表する。
|