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2012 年度 実施状況報告書

臨界現象の概念を用いた地震発生時期推定の新手法

研究課題

研究課題/領域番号 23510218
研究機関東京大学

研究代表者

上田 誠也  東京大学, 地震研究所, 名誉教授 (60011459)

研究分担者 鴨川 仁  東京学芸大学, 教育学部, 助教 (00329111)
上嶋 誠  東京大学, 地震研究所, 准教授 (70242154)
キーワード臨界現象 / 地震 / ナチュラルタイム
研究概要

近年、時間は事象が起きたときにのみ進むとするNatural Timeという新しい時間概念に基づいて臨界現象の時系列解析(NT解析)を行うと、システムが臨界点に達しているか否かを推定できることが示された(Varotsos et al., PRE, 2002)。すなわち、臨界状態に達した場合にはκ1とよばれる指標の値が0.07に収束するという。我々はNT解析の理論的妥当性を種々の既知の臨界現象によって示したが (Varotsos et al., 2011)、2012年度には、まず地震は臨界現象であるとの見地から、我が国の数個の大地震発生前のNT解析を気象庁地震カタログについて行なった。κ1の計算には臨界状態の別の指標である地震電気信号(SES)活動発生時から解析を始めるのが、常道であるが、我が国ではSES データが存在しない場合が多いので、特殊なパラメータ探索法が案出された。その結果、2000M7.3鳥取県西部地震、2008M7.2岩手宮城地震などでは明確ではなかったが、1995M7.3兵庫県南部地震, 2004紀伊半島沖地震、2005M7.0福岡県西方沖地震等の明確なκ1―>0.07、即ち臨界状態が検出された。また、κ1頻度分布がG-R則のb値と密接に関連すること、その変動度が大地震発生の1ないし数ヶ月まえに減少するという事実もその存在が指摘され、現在その統計的研究が進捗中である。また神津島で観測されたSESが地震先行した現象であることを統計的に示した論文も出版した(Orihara et al., PNAS, 2013)

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究の重要な課題のひとつとして時系列解析の開始点となるSESの存在を統計的に示す論文を学術論文を出版することができたため。

今後の研究の推進方策

κ1 が0.07 に収束することを本邦の大地震における解析で示すことができたので本年度は、これらを学術論文としたい。また2011年東日本太平洋沖M9地震などの前に著しいκ1の 変動の可能性については、いまだ再検討の必要性が大きいので、鋭意、検討をすすめる。

次年度の研究費の使用計画

共同研究者のグループとの研究討論を行うための旅費および計算等で使用するコンピューターなどの備品を購入する

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2013 2012

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] Preseismic anomalous telluric current signals observed in Kozu-shima Island, Japan2013

    • 著者名/発表者名
      Y. Orihara, M. Kamogawa, T. Nagao, and S. Uyeda
    • 雑誌名

      Proc. Nat. Acad. Sci.

      巻: 109 ページ: 19125-19128

    • DOI

      10.1073/pnas.1215669109

    • 査読あり
  • [図書] 地震予知研究の最前線2012

    • 著者名/発表者名
      鴨川仁,織原義明,長尾年恭,竹内昭洋,上田誠也
    • 総ページ数
      800
    • 出版者
      日本専門図書出版

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公開日: 2014-07-24  

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