研究概要 |
地震を臨界現象とみる立場の研究は、Bak らの自己組織化臨界現象の研究をはじめとして数多い。これらは地震発生マグニチュードの頻度分布や余震の発生数時系列などが臨界現象の特徴であるべき的変化を示すこと及び大地震などのイベントが相転移に対比できることから予想されている。自己組織化臨界現象とみなせる地震や砂山崩しなどでは、発生マグニチュードの時間発展はごく僅かな例外を除き、磁性体の相関長などのようにべき的な変化ではなく単調増加でもない。ゆえに、大地震の発生時を、臨界現象の立場から予測することは難しいと考えられている。しかしながら、Varotsosらによれば本概念を地震発生時系列に適応させることによって、大地震のような最大イベント発生前の臨界状態を知ることができるとされている。だが、Varotsos らの計算方法は、重み付き時間と閾値を満たす地震のマグニチュードのみをパラメーターにして計算している。実際の地震は余震などからわかるように空間的な相関をもち距離に大きく依存していると考えられる。平成25 年度では、κ 1 の分布形状について時間変化を調べたとこ、2011 年東北地方太平洋沖地震前のみに顕著な変動があることがわかり、米国アカデミー紀要に論文発表した(Sarlis et al., PNAS, 2013)。
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