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2013 年度 実施状況報告書

災害科学の専門家による情報発信の傾向:状況と立場が与える心理的バイアス

研究課題

研究課題/領域番号 23510219
研究機関慶應義塾大学

研究代表者

大木 聖子  慶應義塾大学, 環境情報学部, 准教授 (40443337)

研究分担者 中谷内 一也  同志社大学, 心理学部, 教授 (50212105)
横山 広美  東京大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (50401708)
キーワード災害科学 / コミュニケーション / 地震 / 災害 / 科学者 / 刑事責任 / ラクイラ地震 / イタリア
研究概要

2009年4月に発生し,300名以上の犠牲者を出したイタリア・ラクイラ地震における地震学者訴追事件について,引き続き研究を行っている.2013年6月にイタリアへ再渡航し,現地関係者へのインタビューや収集した資料を元に,科学と社会との関係,科学者のコミュニケーションについて調査・研究した.2013年7月には東北大学大学院にて集中講義を,11月には科学技術社会論学会大会における招待講演を受け,これまでの研究成果を科学技術社会論誌に投稿し,2014年4月にアクセプトされた.論文論旨は以下のとおりである.
社会が災害科学に期待することは将来の自然災害の防止や軽減であり,そのためには自然災害を予測する必要があるが,種々の制約により予測が困難な場合が多いので,災害科学の社会貢献は不定性が高くなる.それを念頭に置かずに「踏み越え」が行われると科学者が刑事責任まで問われることがあり,イタリアのラクイラ地震裁判はその最近の例であるので,資料収集や聞き取り調査,判決理由書の分析等を行い,そこでの災害科学の不定性と科学者の責任を検討した.その結果,裁判の対象となったラクイラ地震の人的被害は,災害科学の不定性を踏まえない市民保護庁副長官の安易な「安全宣言」が主な原因という結論を得た.また,この「安全宣言」のみを報じた報道機関にも重大な責任がある.副長官以外の被告にも会合での発言が災害科学のコミュニケーションとして不用意であるという問題点が存在したが,地震までに発言が住民に伝わることはなかったから,この問題点は道義的責任に留まる.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

イタリア国の裁判制度の都合で,裁判の進行自体が遅れたため.

今後の研究の推進方策

上述の通り,イタリア国の裁判制度の都合で遅れはあったものの,ここまでの研究については国内誌にアクセプトされ,研究計画の方向性通りに進みつつある.今後は,視点を科学者のコミュニケーションに置いて研究を進め,国内外の災害科学研究者の情報発信のあり方,すなわち,災害科学コミュニケーションについてまとめ,国際誌へ投稿したい.

次年度の研究費の使用計画

イタリアでの裁判の判決が大幅に遅れたことと,判決結果が世界的にも異例の科学者への禁錮刑というもので,事態が二審に進んでいること.
論文投稿料および調査のための旅費に使用予定.

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2013

すべて 学会発表 (2件) (うち招待講演 1件)

  • [学会発表] ラクイラ地震裁判2013

    • 著者名/発表者名
      纐纈一起
    • 学会等名
      科学技術社会論学会
    • 発表場所
      東京工業大学
    • 年月日
      20131117-20131117
    • 招待講演
  • [学会発表] ラクイラ地震裁判を読み解く2013

    • 著者名/発表者名
      纐纈一起・大木聖子
    • 学会等名
      地球惑星科学連合大会
    • 発表場所
      千葉県幕張市
    • 年月日
      20130524-20130524

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公開日: 2015-05-28  

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