研究課題/領域番号 |
23510223
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研究機関 | 愛知工業大学 |
研究代表者 |
正木 和明 愛知工業大学, 工学部, 教授 (90078915)
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研究分担者 |
入倉 孝次郎 愛知工業大学, 工学部, 教授 (10027253)
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キーワード | 地震 / 自然現象・予測 / 防災 / 強震動 / 巨大地震 / 東北地方太平洋沖地震 / 震源インバージョン / 経験的グリーン関数 |
研究概要 |
本年度は、広帯域における地表の地震動を評価する手法論の確立に向けてまとめた。 はじめに、微動記録から推定した地盤構造が、地震動予測に必要な地震構造として利用できることを明らかにした。宮城県の地震観測点において微動観測を実施し、H/Vスペクトルを利用して地盤構造の同定を行った。一方で、地震記録のH/Vから地盤構造の同定を行い、各伝達関数を比較し、概ね一致することを確認した。ただし、一致しない点も存在しており、その原因究明および適用範囲の把握は今後の課題の一つである。 次に、広帯域における強震動生成域(SMGA)の有効性を検証するため、2008年岩手・宮城内陸地震を対象として、経験的グリーン関数法によるSMGAモデルの構築と理論的手法による長周期地震動の強震動シミュレーションを実施した。SMGAモデルは、緊急余震観測記録により推定された震源を利用して、新たな断層面を適用しSMGAモデルを構築した。離散化波数法によりSMGAモデルから計算された長周期の波形は、周期10秒程度までは観測記録を再現できることがわかった。ただし、震源極近傍の観測点については変位波形は過小評価となり、これは地表付近の断層のずれによる影響と考えられる。 最後に海溝型巨大地震の長周期成分での地震動評価として、2011年東北地震を対象として、SMGAからの長周期成分の寄与について検証した。Kurahashi and Irikura(2013)によるSMGAモデルを利用して、離散化波数法による理論波形を計算し、観測記録と比較した結果、10秒程度まではよく一致することが確認された。また、既往研究による波形インバージョン結果と比較すると、SMGAは震源より深い側、大すべり域は海溝軸側と顕著に分離することも確認された。 以上の研究成果により、南海トラフのような巨大地震ための地震動を評価する手法論が確立できた。
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