研究課題
本研究の目的は,有力な除雪支援者とは言い難い未経験の外部支援者の関与による減災プロセスの分析と,雪害に対する地域防災力向上のためワークショップ手法の確立により,雪害犠牲者の大幅低減に繋がる一般的・普遍的手法を見いだすことである.「越後雪かき道場」の取組は,地域内互助、近隣からの労働力提供ではなく、地域外(特に非雪国)からの参加者を募り,除雪という特殊作業の研修が主たる目的である.そのため除雪の担い手不足の解消という課題解決にはつながらないが、これまでの取組から地域住民への安全意識啓発の絶好の機会になるとわかっている。2011年度から2013年度の3冬季にわたり、新潟県4か所11回,富山県3か所4回、山形県11か所で除雪安全講習会(雪かき道場としての開催は13回)を開催した(うち22回は転落防止のための命綱講習会)。参加者から「外部支援者との共同作業が安全に繋がる」、「外部者混在の講習会の方がより心理的抵抗が少ない」という声が聞かれ、住民の防災意識の啓発、住民を自発的かつ主体的に防災活動導く手法の骨格は構築できた。雪害リスクについては、新潟、山形、秋田、青森、北海道の5道県の過去の雪害記録データを入手し、高齢化指標、過疎指標など地域社会の基本情報と積雪量、気温などの気象情報などを説明変数として、地域の豪雪に対するリスクを目的変数として分析した。その結果、リスクを圧倒的に支配するのは降雪量で、高齢化率や人口密度等の社会指標はほとんど寄与していなかった。都道府県別の人口当たりリスクは秋田県、山形県が高く、次いで青森県、新潟県であった。市町村別では、新潟県の山間地域が特にリスクが高かった。労働災害のとの比較から、そのリスクが受容可能かどうかを分析したところ、上記4県のほとんどの範囲で、受容できない水準のリスクに晒されていることが明らかとなった。
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日本雪工学会誌
巻: Vol. 30, No 1 ページ: 44-47
巻: Vol. 29, No. 2 ページ: 148-152