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2011 年度 実施状況報告書

市町村合併が危機管理対応にもたらす影響評価モデルの構築

研究課題

研究課題/領域番号 23510229
研究機関富士常葉大学

研究代表者

重川 希志依  富士常葉大学, 環境学研究科, 教授 (10329576)

研究分担者 田中 聡  富士常葉大学, 環境学研究科, 教授 (90273523)
木村 周平  富士常葉大学, 環境学研究科, 准教授 (10512246)
河本 尋子  富士常葉大学, 環境学研究科, 講師 (10612484)
研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2014-03-31
キーワード東日本大震災 / 市町村合併 / エスノグラフィー / 広域応援 / 都市間連携
研究概要

本科研費の申請を行った時点では,その数ヵ月後に東日本大震災が発生することは予想だにしなかった。本災害はこれまで我が国が体験した災害の中でも未曽有の被害をもたらし,平成の大合併により新たに生まれた多くの都市を直撃することとなった。そこで,当初の計画を修正し,平成の合併で複数の自治体が一つとなったケースに着目し,東日本大震災発生以降の様々な災害対応に合併が及ぼした影響を分析することとした。重川・田中は,1市5町6が合併した石巻市を対象とし,旧石巻市役所におかれている本庁,旧5町の町役場におかれている総合支所を対象とし,震災発生当時の災害対応責任者らに対するエスノグラフィー調査を実施し,本庁と支所との役割分担,合併が及ぼした利点と課題の分析を実施した。河本は,自治体の広域連携の観点から,静岡県が派遣した県内市町村の大槌町ならびに山田町に対する広域応援の現状分析を実施し,複数の都市が連携する際の応援・受援の課題の抽出を行った。木村は1市1町が合併した岩手県大船渡市に複数回滞在し,参与観察調査を通じ災害後の地域コミュニティの復興過程の変容を記録した。その結果今年度は,東日本大震災という未曽有の危機事象発生時における,新自治体の危機管理対応プロセスを把握し,自治体・住民双方の視点から,合併が危機管理対応に与えた影響を分析し、効果ならびに問題点の同定を行った。とりわけ,合併後の自治体の危機管理対応に関する枠組みに生じた構造変化が,震災直後の緊急対応期においては組織の意思決定の場面において,本庁と支所(旧町役場)間に二重構造化を生み,各々が独立した意思決定をせざるを得なかった現状が明らかとなった。一方,支所相互が機能を分担し,被害激甚な地域に対する相互補完や支援の実施など,合併がもたらした災害対応上の効果も明らかとなった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

9で述べたとおり,研究着手直前に東日本大震災が発生したことにより,研究課題である市町村合併が自治体の危機管理対応に与える諸課題あるいは効果を,現実の危機事象を対象として検証することとなった。その観点では,当初に設定した目的に関し,おおむね順調に進展していると考えられる。

今後の研究の推進方策

初年度は,東日本大震災発生時の緊急対応期(発災から概ね3カ月間)を対象とした調査分析を行ったが,今後は,応急対応期~復旧~復興のフェーズに分析対象を拡大し,市町村合併が危機管理対応プロセスに及ぼす影響評価を行っていく。

次年度の研究費の使用計画

今年度は,東日本大震災における被災自治体の災害復興・復旧が急がれたため,現地調査の回数を減らし,調査資料を郵送してもらう等の措置をとった。そのため研究遂行への影響はなかったが,旅費等に多くの未使用額が生じた。 次年度は,引き続き東日本大震災の被災自治体を調査対象に,応急対応期~復旧~復興のフェーズに分析対象を拡大し,市町村合併が危機管理対応プロセスに及ぼす影響評価を行っていくため,現地調査並びにグループインタビュー調査,ワークショップ開催などを計画している。 このため物品費として,調査内容を記録するための記録用機器や消耗品を購入する予定である。また旅費として,現地調査並びにグループインタビュー調査,ワークショップ開催などを各地域で実施するため,研究メンバーの調査旅費を予定している。さらに被災した自治体の災害対応に関る各種資料,地域防災計画の改定前後の比較など,得られた資料整理と情報の電子化のために,資料整理ならびにデータ入力を行うための謝金を予定している。その他インタビュー調査,グループディスカッション,ワークショップ等によって得られた音声の証言記録を文字化するための経費ならびに,グループディスカッションやワークショップ開催に関る会場費を予定している。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2012 2011

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (4件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] Analysis of Disaster Victims’ Decision-Making in the Process of Reconstruction Housing2012

    • 著者名/発表者名
      Kishie Shigekawa
    • 雑誌名

      Journal of Disaster Research

      巻: Vol.7 №2 ページ: 127,134

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 他都市応援隊による災害対応業務の現状と課題2011

    • 著者名/発表者名
      河本尋子,重川希志依,田中聡
    • 雑誌名

      地域安全学会梗概集

      巻: №29 ページ: 99~100

  • [学会発表] On Public Use of Anthropological Knowledge: A Lesson from the East Japan Earthquake.2011

    • 著者名/発表者名
      Kimura, Shuhei
    • 学会等名
      International Forum of Association for East Asian Anthropology
    • 発表場所
      国立民族学博物館(欠席、小林誠(首都大・院)原稿代読)
    • 年月日
      2011年9月10日
  • [学会発表] Activity of Special committee for the Great East Japan Earthquake of ISSS2011

    • 著者名/発表者名
      重川希志依
    • 学会等名
      2011Conference for Disaster Management in Taiwan(招待講演)
    • 発表場所
      NTUH International Convention Center
    • 年月日
      2011年11月17日
  • [学会発表] 災害に強い人づくりへの取り組み2011

    • 著者名/発表者名
      重川希志依
    • 学会等名
      都市計画協会第63回都市計画全国大会(招待講演)
    • 発表場所
      ロイトン札幌
    • 年月日
      2011年10月20日
  • [学会発表] 東日本大震災液状化被害による建物被害認定調査プロセスの分析2011

    • 著者名/発表者名
      重川希志依
    • 学会等名
      地域安全学会第29回研究発表会
    • 発表場所
      静岡県地震防災センター
    • 年月日
      2011-11-12
  • [図書] 地震大国の防災を考える2012

    • 著者名/発表者名
      重川希志依(共著)
    • 総ページ数
      238
    • 出版者
      自由国民社

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公開日: 2013-07-10  

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