研究課題/領域番号 |
23510230
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
田中 克彦 立命館大学, 総合理工学研究機構, 教授 (00367997)
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研究分担者 |
深川 良一 立命館大学, 理工学部, 教授 (20127129)
酒匂 一成 立命館大学, 立命館グローバル・イノベーション研究機構, 准教授 (20388143)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 斜面崩壊 / モニタリング / 超音波 / 土中水分 / 地下水位 |
研究概要 |
これまでに、中空のパイプを用いて超音波を地中に送信し、地中の土表面における反射強度から土の湿潤状態、反射時間から地下水位をモニタリングする方法を開発してきた。本研究では、この技術を降雨による土砂災害予知のための野外広域多地点モニタリングシステムに応用することを目的にしている。今年度は本研究の初年度であり、モニタリングのモデルシステムの設計と必要な測定備品の準備を行った。(1)モデルシステムの設計:超音波の反射特性による地中水分と地下水位の計測技術を用いた野外の広域多地点モニタリングシステムのモデルを設計した。システムは超音波検出器、水分水位測定器、多地点計測用マルチプレクサ、データロガーで構成した。マルチプレクサは8チャンネルの2段従属接続により64チャンネル(8チャンネルx8チャンネル)まで拡張可能な設計にした。(2)測定器の設計・試作:これまでの超音波測定器を野外の多地点モニタリング用に改良設計した。今年度は基本になる8チャンネルまでの多地点計測器を試作した。(3)検出器の設計・試作:検出器は中空の金属製パイプからなる超音波導波管とこの上端に設置した超音波送受信兼用のトランスデューサで構成した。検出器頭部のトランスデューサ部分のみを地上に露出して導波管部分を地中に埋設する部分埋設方式と、検出器全体を地中に埋設する完全埋設方式の2設置方法を検討した結果、今後の実用性を考えて後者の方式を採用することにした。但し現在は試験段階であることから、検出器のメンテナンスを容易にするために配線のみ地上に設置することとした。この方式で8チャンネル分の検出器を製作した。(4)システムの基本性能評価:試作した測定器と検出器を用いて、実験室レベルで多地点自動計測システムの機能評価を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
予定していた広域多地点モニタリングシステムの設計、測定器の設計・試作、検出器の設計・試作の各項目を実行した。測定器の製作が遅れたため、実験室におけるシステムの性能評価を現在継続中である。
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今後の研究の推進方策 |
初年度に設計・試作した測定システムを野外多地点モニタリングのモデルシステムに適用して、システムの課題を抽出する。 まず、野外での評価に先立って、モニタリングシステムの基本機能を実験室レベルで評価する(現在評価中)。 その後、京都清水寺後背斜面における地下水脈の探査モニタリングに適用する。今年度はその基礎実験として8チャンネルの多地点評価を行い、課題を抽出して、翌年度のチャンネルの拡大に備える。
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次年度の研究費の使用計画 |
多地点計測用マルチプレクサ、検出器の追加購入、野外計測用収納ボックス、清水寺におけるシステムの設置費用などを予定している。
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