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2011 年度 実施状況報告書

アクティブ制御乱流風洞を用いた大規模広域火災時の効果的な空中消火方法に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 23510231
研究機関大分工業高等専門学校

研究代表者

菊川 裕規  大分工業高等専門学校, 機械工学科, 准教授 (70321528)

研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2015-03-31
キーワード大規模火災 / 広域火災 / 空中消火 / 相似模型 / 風洞実験
研究概要

阪神・淡路大震災では,地震時の交通混乱や水利不足のため消防効果を発揮できず広域火災に発展した.このような状況下において空中からの消火活動は非常に有効な消火手段である.しかしながら気象条件や地形特性などの自然環境,火災規模や延焼速度などの火災状況に対応した最適な散布方法や効果的な消火方法などは未だ明確にされていない.これまで申請者は,複数の送風機をアクティブに制御し種々の気象条件を再現できる形式のアクティブ制御乱流風洞の開発を行ってきた.そこで,本風洞を用いて種々の気象条件に対する最適な空中消火方法の基礎資料を提供できるものと考え本研究に着手した.実機を用いた実大規模実験が数回行われ基礎データが得られたが,更なるデータを得るためには広大な場所や莫大な予算を必要とするため,以後実大規模実験は行われていない.そこで,本研究では,実規模実験より容易にしかも同等の結果が得られる小規模な模型装置を提案し,大規模広域火災時の効果的な空中消火方法について提案することが目的である. これまで,模型ヘリコプターを用いたダウンウォッシュ中における投下物の挙動について支配されている物理法則を明らかにし,実規模実験との相似性を明らかにした.また,空中投下水が地表面に落下した際の衝撃度について,模型実験による相似法則の検証を行い,衝撃度の緩和方法について検討した.明らかとなった相似法則に基づいて模型を製作し,火災を模擬した火炎中に空中より水を投下することで空中消火効果向上および延焼防止効果向上のための効果的な空中消火方法を提案する. 本年度は,これまでの研究成果で明らかとなった相似法則に基づいて模擬家屋を製作し,模擬家屋を燃焼させて温度変化と燃焼過程を把握した.また,空中投下水の散布水量,投下回数,投下間隔等を変化させたとき,どのような条件下で効果的な空中消火が可能であるか検討した.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

阪神淡路大震災のような大規模な市街地広域火災では,消防水利の不足が予測されるため,消防ヘリコプター等による空中消火に期待が寄せられている.しかし,消防ヘリコプターで搬送できる水量は限られており,空中消火の効果に限界があることが予想される.これまでに実機のヘリコプターを用いた実規模実験が行われてきたが,頻繁に行うことは困難である.そこで本研究では,相似模型を用いて効果的な空中消火方法を提案することを目的とする. これまでの研究成果で明らかとなった実規模実験の相似法則に基づいて模擬家屋を製作し,模擬家屋を燃焼させて温度変化と燃焼過程を把握する.次に,空中投下水の散布水量,投下回数,投下間隔等を変化させたとき,効果的な空中消火方法について検討する.初年度は単体の模擬家屋について現象を検討するが,次年度以降,住宅密集地の市街地を再現し,市街地密度と延焼速度の関係と空中消火による効果的な消火方法および延焼阻止方法について検討する.さらに,アクティブ制御乱流風洞を用いて自然風,特に強風下での火災を想定した気象条件の際に,効果的な空中消火方法および延焼阻止方法について提案する. 本年度は,明らかとなった実規模実験との相似法則に基づいて,木材クリブを用いて単体の模擬家屋を製作し,模擬家屋を燃焼させて温度変化と燃焼過程を把握した.まず,実規模実験にて得られたデータを基に,空中投下水の散布水量,投下回数,投下間隔等を変化させ,実規模実験の再現を行った.次に,実規模実験では,空中投下を繰り返し行ったにも関わらず鎮火に至らなかったため,火災を空中消火のみで鎮火させるための条件を検討した.すなわち,実機のヘリコプターで一度に搬送できる水量には限界があるため,空中投下の投下回数や投下間隔を変化させて,効果的な鎮火方法について検討した.以上は本年度に実施予定していた研究計画に従って研究遂行を行った.

今後の研究の推進方策

平成24年度は木材クリブを用いた単体の模擬家屋について,現有のアクティブ制御乱流風洞を用いて自然風,特に強風下での火災を想定した気象条件の際に,効果的な空中消火方法および延焼阻止効果の向上について検討する.本年度と同様に,明らかとなった実規模実験との相似法則に基づいて,木材クリブを用いて単体の模擬家屋を製作し,強風下において模擬家屋を燃焼させて温度変化と燃焼過程を把握する.次に実規模実験にて得られたデータを基に,空中投下水の散布水量,投下回数,投下間隔等を変化させ,効果的な空中消火方法の検討を行う.さらに,実規模実験では,空中投下を繰り返し行ったにも関わらず鎮火に至らなかったため,火災を空中消火のみで鎮火させるための条件を検討する.すなわち,実機のヘリコプターで一度に搬送できる水量には限界があるため,空中投下の投下回数や投下間隔を変化させて,効果的な鎮火方法について検討する.さらに,模擬家屋に予防的に水を空中散布した場合に延焼阻止効果について検討する. 平成25年度は多数の模擬家屋により,住宅密集地の市街地を再現し,市街地密度と延焼速度の関係と空中消火による効果的な消火方法と延焼阻止方法について検討する.平成26年度は多数の模擬家屋を用いて,住宅密集地における強風下での火災を想定して,効果的な空中消火方法および延焼阻止方法について検討する.住宅密集度と強風の状態からどの地域に空中消火を行えば効果的に広域火災が鎮火できるのか,延焼を防止できるのか検討する.また,研究が当初計画どおりに進まない場合の対応として,研究協力者へ適宜相談の上で対応を検討する.

次年度の研究費の使用計画

平成24年度は木材クリブを用いた単体の模擬家屋について,現有のアクティブ制御乱流風洞を用いて自然風,特に強風下での火災を想定した気象条件の際に,効果的な空中消火方法および延焼阻止効果の向上について検討する.本年度と同様に,明らかとなった実規模実験との相似法則に基づいて,木材クリブを用いて単体の模擬家屋を製作し,強風下において模擬家屋を燃焼させて温度変化と燃焼過程を把握する.次に実規模実験にて得られたデータを基に,空中投下水の散布水量,投下回数,投下間隔等を変化させ,効果的な空中消火方法の検討を行う.そこで,模擬家屋の模型製作費として10万円を要し,模擬家屋を燃焼させるための燃料費として5万円を要する. 現有のアクティブ制御乱流風洞装置にて自然風と同様の気流を再現する。本風洞は風路前方に小型送風機を多数設置し,個々の送風機を独立に制御することで,任意の気流を再現することが可能である.本風洞を用いることで種々の気象条件における広域火災の実験が可能である.そこで,火災実験に耐えられるように現有風洞を改良する必要があるため,風洞改修費として20万円を要する. さらに,平成23年度購入した赤外線サーモグラフィーで記録すると同時に,熱電対を用いて多点同時に温度変化の測定を行う.そこで,熱電対購入費として10万円を要し,記録したデータを記録するためのデータ保存用メモリ購入費として5万円を要する.

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2011 その他

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] マルチファン風洞による加熱ストリートキャニオンの温度場及び流れ場の特性2011

    • 著者名/発表者名
      菊川裕規,関下信正,東祐輔
    • 雑誌名

      日本風工学会誌

      巻: 第36巻第2号 ページ: pp.97-98

  • [学会発表] Research on the characteristics of heated street canyons in turbulent wind tunnels2011

    • 著者名/発表者名
      Hironori Kikugawa, Nobumasa Sekishita, Syuichi Hayakawa, Yusuke Higashi and Hideharu Makita
    • 学会等名
      13th International Conference on Wind Engineering (ICWE13)
    • 発表場所
      Amsterdam Netherlands
    • 年月日
      2011年7月12日
  • [学会発表] 乱流風洞による加熱ストリートキャニオンの流れ場および温度場の特性

    • 著者名/発表者名
      後藤啓伸,菊川裕規,関下信正
    • 学会等名
      日本機械学会九州学生会 第43回卒業研究発表講演会
    • 発表場所
      佐世保高専
    • 年月日
      平成24年3月12日

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公開日: 2013-07-10  

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