研究課題/領域番号 |
23510244
|
研究機関 | 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所) |
研究代表者 |
濱野 慶朋 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 研究員 (10281354)
|
キーワード | MPO-ANCA |
研究概要 |
・平成24年度はMPO-ANCA産生感受性遺伝子Aの機能解析をするべく、この遺伝子のクローニング・リコンビナントタンパクの作製・精製を行った。まず、SCG/Kjの脾細胞由来のmRNAを用いてRT-PCRによりA遺伝子のcDNAを合成した後、Invitrogen社のGatewayシステムを用いてクローニング・発現ベクターを作製した。BL-21-AIに導入し強制発現したのち、ニッケル・コバルトレジン及びイオンクロマトグラフィーカラムによりリコンビナントタンパクを精製し、泳動で予想されるバンドを得、ウエスタンブロッティングで確認した。現在、マウス由来白血球・リンパ球細胞株を用いてin vitroのリコンビナントタンパク機能解析を開始している。 ・B6マウス背景遺伝子に血管炎自然発症モデルSCG/Kjマウスの遺伝子を導入した区間コンジェニックマウスの作成を継続した。当該年度において、B6.C1SCG,B6.SCG1SCG, B6.SCG2SCG, B6.C10SCG, B6.C16SCGの、合計5つの区間コンジェニックマウスの退交配第10代が終了した。これらはこれまでヘテロで交配維持されてきたが、このうち、B6.C1SCG、 B6.SCG2SCG の2系統についてはホモマウスを得た。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本遺伝子のクローニング・リコンビナントタンパクの作製・精製を行うにあたり、Gatewayシステムを用いたクローニングはスムースであったが、BL-21-AIに導入し強制発現したところ、リコンビナントタンパクのほとんどが不溶性分画に入り、別の発現ベクターに再挿入し発現条件を検討するなどの遅れがあった。 また、病院・研究所の移転に伴い、一時研究の中断があった。 区間コンジェニックマウスの作製では、退交配の反復によるものか、ホモマウス作製にあたり妊娠出産率が極端に低下し、5系統のうちホモをとるのに成功しているのは今の所2系統である。
|
今後の研究の推進方策 |
(1) 位置的候補遺伝子Aの機能解析:細胞を用いた遺伝子強制発現系、及びリコンビナントタンパクおよび抗体を作成したのち、細胞・マウス個体への投与による機能解析を行う。(2)位置的候補遺伝子群の多型解析:次世代シーケンサーを用いたリシークエンスにより、親系2系統における第一染色体の当該領域を網羅的にシークエンスする事により、候補遺伝子Aを含めた位置的候補遺伝子群の両親系統間(SCG/Kj・B6)における多型解析を、コード領域、調節領域、トランスポゾンの結合を念頭に置きながら行う(進行中)。また、一般的なゲノム多型解析の他に、遺伝子のエクソン部分を選択的に多型解析できるExome sequencingを考慮している。(3) 区間コンジェニックマウスによるSCG/Kj由来QTLの機能解析:既に退交配10代が終了しており、一部ホモマウスも得ている。これらにおける免疫病理学的形質を検討することにより、個々のQTL単独の機能解析を行う傍ら、これらを交配してQTLを複数導入したマウスを作製してQTLの組み合わせによる遺伝子効果を解析する。(4)位置的候補遺伝子の発現較差解析:1-LOD支持領域における位置的候補遺伝子の発現較差解析を行う。
|
次年度の研究費の使用計画 |
費用は試薬・物品・実験動物の購入、抗体作製、施設内に保有していない機器による解析費用、書籍購入、学会への参加費などにあてる予定である。・cDNAクローニング・強制発現のための試薬・器具購入(細胞培養器具・培地、インビトローゲン社Gatewayシステム、リポフェクタミン、プライマー合成、siRNA合成等)。・Exome sequencingのためのMouse Exome SureSelect Kit購入。・抗体作製。・施設内に保有していない機器による解析費用。・書籍の購入。・学会参加費用。
|