研究課題
平成24年度にMPO-ANCA産生感受性遺伝子Aの機能解析をするべく、この遺伝子のクローニング・リコンビナントタンパクの作製・精製を行った。平成25年度にはマウス由来白血球・リンパ球細胞株を用いてin vitroのリコンビナントタンパク機能解析を開始した。まずマウスリンパ球又は白血球株であるJ774, DC2.4, EL-4, 32Dcl3, RAW246.7, WEHI-3を用いて、細胞増殖促進機能を検討した。一部で軽度ながら有意な増殖促進を認めた。また、マウス顆粒球細胞株32Dcl3における強制発現による効果を検討するため、この遺伝子をpcDNA6.2発現ベクターにクローニングし、32Dcl3に導入した。これによる表面形質の変化をフローサイトメトリーでLFA-1,CD40, CD86, H-2Kの発現を検討したが、有意な発現変化は認められなかった。・B6マウス背景遺伝子に血管炎自然発症モデルSCG/Kjマウスの遺伝子を導入した区間コンジェニックマウスの作成を継続した。当該年度において、B6. lprC1SCG,B6. lprSCG1SCG, B6. lprSCG2SCG, B6. lprC10SCG, B6.lprC16SCGの、合計5つの区間コンジェニックマウスの退交配第10代が終了した。これらはこれまでヘテロで交配維持されてきたが、このうち、B6. lprC1SCG、 B6. lprSCG2SCG 、B6. lprC16SCGの3系統についてはホモマウスを得た。現在B6.lprC1SCGC16SCG, B6.lprSCG2SCGC16SCGのコンジェニックマウス作成に着手している。
3: やや遅れている
連鎖解析におけるロッドスコアのもっとも高かった遺伝子Aの機能解析の初段階が終了した。また次世代シーケンサーによりマウス第一染色体当該領域の網羅的塩基配列決定が終了し、コード領域に多型を有する遺伝子や、遺伝子の内外にかかわらず多型の存在・位置の洗い出しが終了した。今後疾患発症前・発症後のSCG/Kjマウス、対照のB6マウスの免疫担当細胞におけるwhole transcriptome解析を行い、ゲノム塩基配列と比較することにより位置的候補遺伝子の同定を狙う。
(1) 位置的候補遺伝子の見極め:今年度行った次世代シーケンサーによる当該領域の網羅的シークエンスにより、タンパクをコードする遺伝子を、フレームシフト変異、アミノ酸変異、イントロン・調節領域変異の3群に分類した。このうち、前2者をもつ遺伝子における変異の機能的影響を、SHIPアルゴリズムを用いて解析したところ、機能的影響の大きい遺伝子が2つ見つかった。位置的候補遺伝子には遺伝子の調節領域における多型やRNA遺伝子も含まれる可能性があり、これらの同定には、連鎖解析及び網羅的シークエンスの結果と、トランスクリプトーム解析・eQTLなど転写側からの解析や、chromatin conformation capture(3C)などエピゲノムに注目した解析結果とを組み合わせる必要がある。これらのうちまず次世代シーケンサーを用いたトランスクリプトーム解析及び3C解析を行う予定である。(2)位置的候補遺伝子群の機能解析:次世代シーケンサーを用いたリシークエンスにより、親系2系統における第一染色体の当該領域を網羅的にシークエンスする事により、候補遺伝子Aを含め、位置的候補遺伝子群の両親系統間(SCG/Kj・B6)における多型解析を、コード領域、調節領域、トランスポゾンの結合を念頭に置きながら現在進めている。(1)と(2)の結果を統合し、可能性の高い位置的候補遺伝子を機能解析していく。(3) 区間コンジェニックマウスによるSCG/Kj由来QTLの機能解析:既に退交配10代が終了しており、一部ホモマウスも得ている。現在これらを組み合わせ区間を複数持つコンジェニックマウスを作成中である。これらにおける免疫病理学的形質を検討することにより、個々のQTL単独及びQTLの組み合わせによる遺伝子効果を解析する
平成24年度にMPO-ANCA産生感受性遺伝子Aのクローニング・リコンビナントタンパクの作製・精製を行った。平成25年度にマウス由来白血球・リンパ球細胞株を用いてin vitroのリコンビナントタンパク機能解析を開始した。マウスリンパ球又は白血球株であるJ774, DC2.4, EL-4, 32Dcl3, RAW246.7, WEHI-3を用いて、細胞増殖促進機能を検討した。一部で軽度ながら有意な増殖促進を認めた。また、マウス顆粒球細胞株32Dcl3における強制発現による効果を検討するため、この遺伝子をpcDNA6.2発現ベクターにクローニングし、32Dcl3に導入した。これによる表面形質の変化をフローサイトメトリーでLFA-1,CD40, CD86, H-2Kの発現を検討したが、有意な発現変化は認められなかった。このため遺伝子Aの機能解析を中断し、より可能性の高い候補遺伝子を同定することとした。今年度行った次世代シーケンサーによる当該領域の網羅的シークエンスにより、タンパクをコードする遺伝子を、フレームシフト変異、アミノ酸変異、イントロン・調節領域変異の3群に分類した。このうち、前2者をもつ遺伝子における変異の機能的影響を、SHIPアルゴリズムを用いて解析したところ、機能的影響の大きい遺伝子が2つ見つかった。位置的候補遺伝子には遺伝子の調節領域における多型やRNA遺伝子も含まれる可能性があり、これらの同定には、連鎖解析及び網羅的シークエンスの結果と、トランスクリプトーム解析・eQTLなど転写側からの解析や、chromatin conformation capture(3C)などの解析結果とを組み合わせる必要がある。これらのうちまず次世代シーケンサーを用いたトランスクリプトーム解析及び3C解析を行う予定である。
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