平成24年度には、遺伝子過剰発現プラスミドライブラリを活用して、約1600株からなる出芽酵母遺伝子過剰発現株セットを構築した。また、この過剰発現株セットを用いて、酸化ストレス応答あるいは耐性に関連する表現型を示す過剰発現株を見出すため、種々の条件検討を経て、25 mM過酸化水素による一過的なストレス負荷条件において、全株をスクリーニングに供した。その結果、このストレス負荷条件において顕著な感受性あるいは耐性を示す過剰発現株を同定した。その後、平成24年度中に研究代表者が所属研究機関内で異動となり、研究環境が大きく変わったため、研究環境の整備を行う必要が生じた。そのため、25年度は、当初計画した細胞生物学的研究への進展を見合わせ、24年度に同定した過剰発現株における表現型変化の原因遺伝子の同定と、上述の一過的なストレス負荷条件条件とは異なる条件でのスクリーニングを試みた。その結果、原因遺伝子の同定については、複数の過剰発現株における候補遺伝子を絞り込むことができた。また、一過性ではなく、0.5-2 mMの過酸化水素による慢性的なストレス負荷によって感受性あるいは耐性を示す過剰発現株を同定した。
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