研究課題
頭蓋骨縫合早期癒合症(Craniosynostosis)患者の骨癒合部位で高発現している遺伝子として発見されたNELL1は分子量約140 kの分泌タンパク質をコードし、種々のモデル系を用いた動物実験において骨分化を促進することから、新しい骨形成促進因子として骨再生治療への臨床応用が期待される。しかしながら、NELL1の受容体およびそのシグナル伝達機構はよくわかっていない。本研究課題では、 (1) NELL1受容体の探索および同定、(2) NELL1の骨分化シグナル伝達経路の解明、(3) NELL1タンパク質の機能領域の解析、(4) NELL1およびNELL1受容体の機能を応用した骨組織再生治療法の基盤技術の確立を目的とした。平成23-25年度の実施期間において、実験材料となるNELL1タンパク質の発現系の構築からスタートし、NELL1受容体の探索及びシグナル伝達機構の解明に取り組んだ結果、beta1サブニットを含むインテグリンがNELL1の細胞接着活性を担う受容体として機能し、骨分化誘導シグナルを活性化することを見出した。これには、NELL1タンパク質のC末端側に位置するvon Willebrand factor type Cドメインに存在するインテグリン結合領域とその立体構造が重要な働きをしていることを見出した。また、NELL1タンパク質のコイルドコイル領域を介した多量体形成に伴い、インテグリンを介したNELL1の細胞接着活性が調節されていることを明らかにした。平成26年度(最終年度)は、これらの結果を投稿論文にまとめて発表した。
すべて 2014
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件)
Journal of Biological Chemistry
巻: 289 ページ: 9781-9794
doi: 10.1074/jbc.M113.507020.