研究課題/領域番号 |
23510260
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
上田 純一 大阪府立大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (40109872)
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研究分担者 |
宮本 健助 大阪府立大学, 高等教育推進機構, 教授 (10209942)
長谷川 宏司 筑波大学, 生命環境科学研究科, 名誉教授 (70094167)
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キーワード | 国際情報交換 / オーキシン / オーキシン極性移動 / 植物ホルモン / 植物生理活性物質 / 生物検定法 / 構造決定 / 遺伝子発現 |
研究概要 |
昨年度の研究に引き続き、放射性インドール酢酸([14C] IAA)および明所で生育させたダイコン芽生え胚軸を用いた生物検定系を駆使して、あらたに10種類のキク科植物を対象として新規オーキシン極性移動制御物質を探索した。その結果、Saussurea costusおよびArctium lappaから、立体構造は明らかではないものの、以下に示すartabolideと同様、α-methylene-γ-lactone構造を有するdehydrocostus lactoneすなわちdecahydro-3,6,9-tris-methylene-azulenol(4,5-b)furan-2(3H)-oneが新規オーキシン極性移動阻害活性物質として単離された。また、昨年度の研究においてArtemisia absinthiumから単離され、artabolideと命名した新規オーキシン極性移動阻害物質の化学構造が、3-hydroxy-4,6,7(H)-germacra-1(10),11(13)-dien-6,12-olideであることが示された。さらにX-ray crystallographyとMosher’s methodを一部修正した方法によって、そのabsolute configurationおよびspatial conformationは3R, 4S, 6R, 7Sでchair-chair form を取ることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度および今年度の研究において、新規オーキシン極性移動阻害物質としてdehydrocostus lactone、4-hydroxy-β-thujoneさらに新規化合物であるartabolideの化学構造を決定することができた。特にartabolideに関しては、X-ray crystallographyとMosher’s methodを一部修正した方法によって、absolute configurationおよびspatial conformationが3R, 4S, 6R, 7Sでchair-chair form を取る3-hydroxy-4,6,7(H)-germacra-1(10),11(13)-dien-6,12-olideであることを明らかにした。従来、flavonoide系化合物にオーキシン極性移動阻害活性があることは報告されていたものの、天然型オーキシン極性移動制御物質については明らかではなかったが、本研究を実施することで、少なくとも上記の化合物にオーキシン極性移動阻害活性が認められる成果を得ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
新規オーキシン極性移動制御活性物質の探索を継続するとともに、aratabolideやdehydrocostus lactoneのmode of actionを生理学的、分子生物学的に解析する。特に申請者によって確立されている黄化エンドウ芽生え上胚軸を用いた実験系において、オーキシン極性移動関連遺伝子、すなわちPsAUX1やPsPINsの発現解析が可能となっているので、今後は黄化エンドウ芽生え上胚軸を用いた実験系において、本研究によって明らかとなったこれらの化合物のオーキシン極性移動関連遺伝子の発現とその産物に対する影響を精査する予定である。なお、今後の研究に必要なPsPINsの抗体については、現在その作製が進行中である。
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次年度の研究費の使用計画 |
新規オーキシン極性移動制御活性物質の探索を継続するための機材、試薬の購入、国際学会等への研究発表のための旅費、研究補助のための謝金、論文発表等に関わる費用に充当する。
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