研究課題/領域番号 |
23510261
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
服部 成介 北里大学, 薬学部, 教授 (50143508)
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研究分担者 |
佐藤 龍洋 北里大学, 薬学部, 助教 (70547893)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | キナーゼ / プロテオミクス / ERK / mTOR |
研究概要 |
23年度は、1.in vitroリン酸化系によるキナーゼ基質の同定、2.in vivoリン酸化系によるキナーゼ基質の同定の二つの系を併用し、p38 MAPキナーゼ、ERKおよびmTORキナーゼをモデルキナーゼとして、キナーゼ基質の網羅的同定をおこなった。 in vitroリン酸化系によるキナーゼ基質の同定では、細胞抽出液をホスファターゼで脱リン酸化し、その後遺伝子組み換え法で作成したp38 MAPキナーゼを添加し、リン酸化反応を行なった。キナーゼ添加、無添加中のリン酸化タンパク質を精製し、2次元ゲル電気泳動で比較することにより、55の候補タンパク質を同定している。これまでに解析した7つの新規候補タンパク質のうち、6タンパク質が実際に細胞内でp38 MAPキナーゼ活性化にともないリン酸化されることを見いだし、このシステムが稼働していることを示している。 一方in vivoリン酸化系によるキナーゼ基質の同定は、mTORの特異的阻害剤であるラパマイシンおよびTorin1を用い、同様に2次元ゲル電気泳動でリン酸化タンパク質を比較することにより、多数の新規基質候補タンパク質を同定している。このうちの一つのタンパク質は、mTORによるリン酸化で細胞質-核間の移行が制御されることを見いだしている。また別の細胞骨格系制御因子は、mTORによるリン酸化でインテグリンとの結合が制御されることを見いだしている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
23年度では、1.in vitroリン酸化系によるキナーゼ基質の同定、2.in vivoリン酸化系によるキナーゼ基質の同定の二つのプロジェクトを遂行した。前者については、ホスファターゼによる脱リン酸化反応、組換えキナーゼによるin vitroリン酸化反応の最適化を行い、その結果55個の基質候補タンパク質を同定することができた。後者からも多数の新規基質候補が同定されている。このうち一部については、タグを賦与したタンパク質発現系を作成し、二次元ウェスタンブロッティングにより、リン酸化による等電点の酸性側シフトを観察しており、実際にキナーゼ活性化によるリン酸化を認めていることから、両プロジェクトともに順調に実施されていると考える。
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今後の研究の推進方策 |
残りの研究期間においては、多数の基質候補タンパク質の中から興味深いものを選択し、リン酸化部位の同定、リン酸化部位の変異体の作成、リン酸化による機能制御とその細胞生物学的な意義を明らかにする必要がある。具体的には、リン酸化されるセリンあるいはスレオニン残基を、リン酸化されないアラニンに置換した変異体や、リン酸化状態を模倣するアスパラギン酸に置換した変異体を作成し、野生型タンパク質との比較を行い、リン酸化の意義を明らかにしていく。いくつかのタンパク質については、すでに研究を開始しているが、その数を増やして検討を進めていく。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究経費は、すべて実験に使用する試薬、放射性同位体化合物、細胞培養用血清や器具であり、リン酸化部位の同定、リン酸化部位の変異体の作成、リン酸化による機能制御とその細胞生物学的な意義を明らかにするために使用する。
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