• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2012 年度 実施状況報告書

プロテオミクス技術によるキナーゼ基質の簡便な同定システム

研究課題

研究課題/領域番号 23510261
研究機関北里大学

研究代表者

服部 成介  北里大学, 薬学部, 教授 (50143508)

研究分担者 佐藤 龍洋  北里大学, 薬学部, 助教 (70547893)
キーワードキナーゼ / プロテオミクス / 二次元ゲル電気泳動 / リン酸化
研究概要

プロテオミクス技術によるmTORおよびp38 MAPキナーゼ基質の同定
mTORは2つの複合体mTORC1、mTORC2を形成し、それぞれ異なる細胞内機能を担う。mTORC1は細胞の増殖や大きさ、オートファジー制御に関与し、mTORC2はアクチン細胞骨格や細胞生存シグナルを制御する。われわれは、mTORC2特異的サブユニットRictorに結合する因子としてアクチン架橋因子Filaminを同定し、FilaminがmTORC2基質であること、Filaminリン酸化により細胞骨格および細胞接着性が制御され、細胞運動性を規定することを明らかにした。in vitroリン酸化によるキナーゼ基質の同定では、p38 MAPキナーゼをモデルキナーゼとして実験を行い、31の新規基質候補タンパク質を同定した。このうち7つの因子について細胞内でのリン酸化を試験したが、いずれもp38 MAPキナーゼ活性化に伴い、その等電点が酸性側に移行したことから、細胞内においてp38 MAPキナーゼによりリン酸化されることが示唆された。さらに、in vitroリン酸化反応を行ってp38 MAPキナーゼにより直接リン酸化される基質であるか否かを検討した。その結果、いずれの因子もリン酸化されることが明らかとなった。これらの結果は、in vitroリン酸化によるキナーゼ基質の同定が、キナーゼ基質の網羅的同定法として有効であることを示している。この方法は、活性型のキナーゼがあればすべてのキナーゼに応用出来る汎用性の高いものである。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

in vitroリン酸化によるキナーゼ基質の同定では、p38 MAPキナーゼをモデルキナーゼとして実験を行い、31の新規基質候補タンパク質を同定し、このうち検討を加えた7つの因子が、いずれもp38 MAPキナーゼ活性化に伴い、細胞内でリン酸化され、直接リン酸化される基質であることが明らかとなった。これらの結果は、in vitroリン酸化によるキナーゼ基質の同定が、キナーゼ基質の網羅的同定法として有効であることを示している。したがって、研究計画は順調に推移している。mTOR基質については、細胞生物学的に詳細な検討を加えており、論文投稿段階にあるが、当初の目的である基質の網羅的同定の点で基質候補の同定数が不足している。

今後の研究の推進方策

研究計画書には、リン酸化による基質の機能変化を重点的に研究することを記載している。したがって、今後はリン酸化による機能制御を中心に研究を進める。その方法として、常法通り、リン酸化部位の同定、リン酸化に関する変異体の作成と野生型との機能比較を通じて、リン酸化による機能制御機構を明らかにしていく。

次年度の研究費の使用計画

上記の実験に用いる試薬等の消耗品費、および細胞培養や試薬管理等に関する実験補助員の人件費として研究費を使用する。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2013 2012 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (6件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] SIRPα interacts with nephrin at the podocyte slit diaphragm.2012

    • 著者名/発表者名
      Kajiho Y, Harita Y, Kurihara H, Horita S, Matsunaga A, Tsurumi H, Kanda S, Sugawara N, Miura K, Sekine T, Hattori S, Hattori M, Igarashi T.
    • 雑誌名

      FEBS J.

      巻: 279 ページ: 3010-3021

    • DOI

      10.1111/j.1742-4658.2012.08682.x.

    • 査読あり
  • [学会発表] ERKはadducinをリン酸化し、F-actinとの結合を調節する

    • 著者名/発表者名
      飯田 直幸, 吉本 真吾, 根岸 豊, 吉村 憲彦, 柴垣 芳夫, 服部 成介
    • 学会等名
      第35回日本分子生物学会年会
    • 発表場所
      横浜
  • [学会発表] RacGAP因子FilGAPはAfadinと結合し、腎糸球体上皮細胞におけるアクチン細胞骨格形成を制御する

    • 著者名/発表者名
      椎野 達大, 斉藤 康二, 望月 優加, 栗原 秀剛2, 張田 豊, 柴垣 芳夫, 服部 成介, 太田 安隆
    • 学会等名
      第35回日本分子生物学会年会
    • 発表場所
      横浜
  • [学会発表] FilGAPとAGAP1の相互作用によるRac1シグナルとArf1シグナルのクロストーク

    • 著者名/発表者名
      中村 遥, 柴垣 芳夫, 服部 成介, 太田 安隆
    • 学会等名
      第35回日本分子生物学会年会
    • 発表場所
      横浜
  • [学会発表] 低分子量G蛋白質Rhebによるヌクレオチド生合成への関与

    • 著者名/発表者名
      赤須 仁美, 佐藤 龍洋, 柴垣 芳夫, 服部 成介
    • 学会等名
      第35回日本分子生物学会年会
    • 発表場所
      横浜
  • [学会発表] mTORC2はFilamin Aを介して細胞運動を制御する

    • 著者名/発表者名
      佐藤 龍洋, 柴垣 芳夫, 服部 成介
    • 学会等名
      第35回日本分子生物学会年会
    • 発表場所
      横浜
  • [学会発表] 神経分化におけるmTORの機能解析

    • 著者名/発表者名
      本屋 勇樹, 佐藤 龍洋, 服部 成介
    • 学会等名
      第35回日本分子生物学会年会
    • 発表場所
      横浜
  • [図書] 新細胞生物学2013

    • 著者名/発表者名
      服部成介、竹鼻眞、高橋悟、野尻久雄他
    • 総ページ数
      265
    • 出版者
      廣川書店

URL: 

公開日: 2014-07-24  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi