研究課題/領域番号 |
23510264
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
春木 満 日本大学, 工学部, 教授 (30273593)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 3本鎖DNA / ペプチド / 合成レセプター / DNAタグ / コンビナトリアルライブラリー |
研究概要 |
疾病関連蛋白質等の標的分子を特異的に認識する分子は,医薬品やバイオセンサーへの応用が期待される。このような化合物を得る方法として,合成レセプターライブラリーが用いられる。合成レセプターは,足場となる構造の上に,ペプチド鎖などを複数結合したものであり,標的分子に対して標的分子に対して複数個所で結合し選択性・親和性を高めている。しかし,合成レセプターは連結したペプチド配列を区別できないため,異なった配列のペプチドを連結したライブラリーを作成した場合,セレクションされた分子のペプチド配列を個別に同定することは困難である。本研究では、足場として3本鎖DNAを利用し,3本のランダム配列ペプチドを連結したコンビナトリアル合成レセプターライブラリーの開発を目的とした。 方法としては,3本鎖を形成する各1本鎖DNA(dY・dR・dT)の一方の端にアミノ酸を付加し,もう一方の端にそのアミノ酸に対応したDNAタグを付加する。これにより付加するアミノ酸の同定が可能となる。今年度は3本鎖DNA形成の確認および,DNAタグ付加の反応条件検討を行った。 dYとdRの2本鎖DNAとdTをneomycin存在下で混合し,10%ゲルPAGE泳動を行った。dYとdRの2重鎖より上にバンドが現れたため,3本鎖を形成していることが確認できた。 DNAタグの付加は,リン酸化したdR(pdR)とdYをCircLigase ssDNA Ligaseを用いて反応させることにより行い,尿素を入れた20%ゲルのPAGE泳動を行った。その結果,1本鎖同士が相補的である場合のみ,連結産物が確認できた。また,連結するDNA双方の配列にわたって相補的な配列を有するDNAを加えて部分的に2本鎖を形成させ,T4 DNA Ligaseによる連結反応も試みた。その結果,わずかながら連結産物の形成が確認できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の研究計画では,DNAへのアミノ酸の付加,DNAタグの付加,および3本鎖DNA形成までを行い,ライブラリーを作成する予定であった。しかしながら,3本鎖DNA形成は確認することができたが,CircLigase ssDNA LigaseによるDNAタグの付加の効率が予想より低かったため,条件検討に時間を要した。
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今後の研究の推進方策 |
CircLigase ssDNA Ligaseを用いて連結反応を行った場合,1本鎖同士が部分的に相補的である場合のみ,連結産物が確認できた。また,連結するDNA双方の配列にわたって相補的な配列を有するDNAを加えて部分的に2本鎖を形成させ,T4 DNA Ligaseによる連結反応も試みた。その結果,わずかながら連結産物の形成が確認できた。そこで,次年度は連結するDNAと部分的に相補的な部分を有するヘアピン状DNAをT4 DNA Ligaseを用いて連結し,余分な部分を制限酵素で切断除去するという方法を試みる。連結方法が確立出来れば,アミノ酸の付加,3本鎖DNA形成を行い,ライブラリーを作成する。さらに,作成したライブラリーを用いて,D-Ala-D-Ala,細胞表面糖鎖,NF-kB,リゾチームなどの分子を標的としたセレクションを行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
前年度は,反応条件検討のためCircLigase ssDNA Ligaseなどの試薬を大量に購入した。一方,アミノ酸付加までには至らなかったため,それに使用する試薬類はは購入しなかった。その結果,未使用の研究費が若干生じたが,次年度の研究費とあわせて,DNAタグ連結反応の検討およびライブラリー作成,セレクションの実験に使用する予定である。
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