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2013 年度 実施状況報告書

抗硫酸化モノクローナル抗体作成による硫酸化プロテオーム解析

研究課題

研究課題/領域番号 23510265
研究機関新潟薬科大学

研究代表者

北川 幸己  新潟薬科大学, 薬学部, 教授 (60093853)

研究分担者 浅田 真一  新潟薬科大学, 薬学部, 助教 (50424883)
キーワード硫酸化タンパク質 / モノクローナル抗体 / ファージディスプレイ / チロシン硫酸化酵素 / クローニング / 固相ペプチド合成 / 硫酸化モチーフ / プロテオーム解析
研究概要

本研究課題では、チロシン残基が硫酸化修飾を受けたペプチドの新しい合成手法を基盤として、硫酸化タンパク質の検出・同定に用いる免疫化学的な研究用ツールを開発し、硫酸化プロテオーム解析に展開することを目的としている。
① 抗原とする硫酸化ペプチドの化学合成と抗体作成:従来のマウス免疫法では抗硫酸化チロシンモノクローナル抗体が取得できなかったことから、ファージディスプレイ法での取得を試みている。現在、基礎的な検討を行っている。一方、タンパク質中のセリン/トレオニン残基の硫酸化機構を解明する目的で、硫酸化セリン/トレオニン含有ペプチドを化学合成したが、チロシンの場合と比べて硫酸エステルが化学的に安定であることが示された。このことからマウス免疫法による抗体作成が可能であると考え、抗体作成を業者依頼する予定である。
② チロシン硫酸化酵素の発現系の確立とチロシン硫酸化部位の配列モチーフの解析:これまで大腸菌及び哺乳類細胞を用いて、チロシン硫酸化酵素(TPST-1, TPST-2)の発現系の構築を検討してきた。大腸菌を用いた発現系から、精製及びRefoldingの条件を詳細に検討したところ、酵素活性をもつ2種のリコンビナント酵素を取得することができた。
③ 硫酸化ペプチドの化学合成に関する研究:チオエステル縮合法による硫酸化チロシン含有ペプチドの化学合成を検討している。縮合時に硫酸化チロシンを含むチオエステルセグメントの加水分解が問題となるが、縮合に用いる2つのペプチドセグメントのモル比を変えることで縮合収率を改善できるものと考え、最適な反応条件を検討している。またモデル実験として、硫酸エステルの保護基を用いた短鎖の硫酸化ペプチドの固相合成を行い、最終的に保護基が簡便に除去できる条件を見出している。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

研究概要に記載した①の抗硫酸化ペプチドモノクローナル抗体を取得することが本プロジェクトを遂行する上で鍵となるが、現在までその取得に至っていない。したがって、プロジェクト全体の達成度は「遅れている」と評価せざるを得ない。抗硫酸化チロシン抗体については、ファージディスプレイ法に切り替えて検討しているが、当研究室で初めて試みる手法であることから進捗が遅れている。
②の硫酸化酵素のクローニングについては、大腸菌発現系を用いた場合、発現した酵素タンパクの多くが不溶画分に移行することから精製に苦心したが、最終的に酵素活性を示すタンパク質(TPST-1及び-2)の取得までこぎつけることができた。タンパク質中の硫酸化を受けやすい配列モチーフを同定していくことが当面の目標であるが、種々の長さと配列をもつ合成チロシン含有ペプチドのライブラリー構築を並行して行っている。

今後の研究の推進方策

① 本研究課題の遂行には硫酸化チロシン含有ペプチドに特異的な抗体を取得することが絶対条件であることから、ファージディスプレイ法による抗硫酸化チロシン抗体の作成を最重点課題として検討を進める。
② ヨーロッパモノアラガイ中間径フィラメント由来の硫酸化セリン含有ペプチドはすでに化学合成を完了しているので、マウス免疫法での抗体作成を業者に委託する。
③ 2種のタンパク質硫酸化酵素のクローニングについては、大腸菌での発現とその精製法がほぼ確立できたことから、目的タンパク質の大量調製を目指す。さらに取得したリコンビナント酵素と化学合成したチロシン含有ペプチドを用いて、タンパク質中のチロシン硫酸化部位のモチーフ配列の解明を進める。チロシン含有ペプチドのライブラリー構築はほぼ完了しており、詳細な解析から、TPST-1とTPST-2の2つの硫酸化酵素に関する基質認識の差異が明らかになることを期待している。
④ 硫酸エステルの保護基を用いた硫酸化ペプチドの固相合成をさらに検討し、チオエステル縮合法に適用することを検討する。

次年度の研究費の使用計画

合成硫酸化チロシン含有ペプチドを用いた抗硫酸化チロシン抗体の作成を業者に依頼したが、硫酸化チロシンに特異的な抗体取得に至らなかった。現在抗体作成をファージディスプレイ法に変更して検討しているところである。また抗硫酸化セリン/トレオニン抗体の作成に関しても抗原とする合成ペプチドが準備できなかったことから、次年度に抗体作成を行うように計画変更した。以上のことから、抗体作成に計上する予定であった予算の未使用額が発生した。
抗硫酸化チロシン抗体および抗硫酸化セリン/トレオニン抗体の作成を継続して平成26年度に行うこととし、未使用額はその経費の一部に充てることとする。

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公開日: 2015-05-28  

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