研究概要 |
アトピー性皮膚炎や喘息などのアレルギー性疾患は、ストレスにより重症化あるいは再発することが知られているが、これまでストレスが関与する病態を反映したアレルギーの評価系は皆無である。そこで, 申請者が先に開発した卵白リゾチーム(HEL)感作マウスのアレルギー開始段階における血流量低下に関するこれまでの研究成果をさらに発展させ、ストレスにより重症化する複雑なアレルギーを、血流量低下を指標として総合的に評価できるin vivo評価系の新たな構築を目指した。 23年度には、ストレスのみを負荷したマウスの血流量が、無処置マウスに比較して約80%まで有意に低下すること、さらにこのストレス負荷マウスの血中コルチゾール量が有意に増加することを明らかにした。24年度は、感作マウスとストレスを負荷した感作マウスの間に有意差が確実に再現できることを目的に、前報のアレルギー評価系で用いたHEL量を検討し、ストレスとアレルギーの併発を血流量により反映する病態モデルマウスの作製に成功した。 25年度は上記の病態モデルマウスを用いて、種々の知見を基にストレスが関与するアレルギーを評価できるin vivoアッセイ法を構築した。さらに本アッセイ法を用いて、ストレスやアレルギー性の疾患に用いられてきた生薬を評価し、本法のストレス性アレルギーの評価系としての位置づけを明確にした。今後、本法を用いて天然資源から副作用の少ない新規シーズやリード化合物の探索を行う。一方、病態モデルマウスの血管内皮細胞におけるストレス関連タンパク質のプロテオーム解析は現在検討中である。
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