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2011 年度 実施状況報告書

微小電力を駆動力とした微生物酵素によるアゾ分解反応系の開発

研究課題

研究課題/領域番号 23510275
研究機関山形大学

研究代表者

木島 龍朗  山形大学, 理工学研究科, 准教授 (50272084)

研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2014-03-31
キーワードフェロセン修飾補酵素 / NAD / アゾ還元酵素 / フェロセン / 補酵素再生系
研究概要

H23年度の研究実施計画にしたがって、1)フェロセン修飾補酵素の合成 2)修飾補酵素の活性評価 3)補酵素再生系を有するアゾ分解反応系の最適化 の3項目について検討を行った。まず1)において、アデニン環N6位にフェロセンを1炭素鎖,4炭素鎖,12炭素鎖で導入したフェロセン修飾NAD+の合成を試み、化合物合成に成功した4炭素鎖のN6-フェロセニルブタノイルNADを用いて次の補酵素活性を調べた。2)の補酵素活性は、アルコール脱水素酵素によるエタノールの酸化を行い、分光光度計にて340nmに現れるフェロセン修飾NADHの吸光度変化を補酵素活性として評価した。反応開始後、340nmにNADH生成に起因する特性吸収が認められ、フェロセン導入後も補酵素活性を保持しており、立体障害無く用いることができた。最後に合成されたフェロセン修飾NADを用いて、3)の補酵素再生系を有するアゾ分解反応系の最適化を検討した。連携研究者から提供されたアゾ還元酵素(AZR)を用いて、AZRによるアゾ色素(メチルレッド)の還元(分解)とアルコール脱水素酵素によるエタノールの酸化をカップリングさせ、補酵素再生系とした反応を見た。その結果、430nmにおけるメチルレッドの吸収が減少し、目視においても確認できる退色が確認された。したがって、合成されたフェロセン修飾NADは、アゾ還元酵素およびアルコール脱水素酵素のいづれにおいても補酵素活性を示すこと,活性部位における立体障害や阻害効果は認められないこと,が確認され、有望な修飾補酵素の一つであることが分かった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究期間内での達成目標のうち、連携研究者から提供を受ける酵素を用いて微生物による分解反応全体の中から酵素反応の部分に焦点を絞り,『電極における補酵素再生システムを有するアゾ分解酵素反応系の開発』をめざす中で、H23年度においては「フェロセン修飾補酵素の合成」,「補酵素再生系を有するアゾ分解反応系の最適化」を目標としている。当初計画していた化合物すべての合成に成功しているわけではないが、目標を達成する可能性のあるフェロセン修飾補酵素(N6-フェロセニルブタノイルNAD+)1つの合成に成功しており、概ね計画通りに進展していると考えている。

今後の研究の推進方策

今回合成できなかった1炭素鎖,12炭素鎖のフェロセン修飾NAD+を含めて、異なる構造の修飾補酵素の合成を検討する。その後、H24年度以降の研究計画に沿って補酵素再生に電極を用いたアゾ色素(メチルレッド)の分解反応,ポテンショスタットを用いた電極での補酵素還元反応,酵素単体での電極における補酵素作用機構を明らかにする。また酵素の固定化検討を行い、酵素電極の作製も検討する。

次年度の研究費の使用計画

H23年度残額分とH24年度分とを合わせて、修飾補酵素電極上でのアゾ還元酵素の検出や微生物電極上での酵素の基質取り込み時の検出に必要不可欠のSPR(表面プラズモン共鳴)測定装置の購入を考えている。サイクリックボルタンメトリーにて必要な電極キット,セルやフェロセン修飾補酵素合成用の試薬・溶媒,ガラス器具類を消耗品として購入予定。また1-2回の研究打合せ(北海道大学)と関西地方での学会発表(日本生物工学会大会)を考えている。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2011

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] 補酵素再生系を組み込んだアゾ還元酵素による色素分解システムの構築2011

    • 著者名/発表者名
      池田裕美子・片岡実咲・村上聡・高塚由美子・波多野豊平・大井俊彦・木島龍朗
    • 学会等名
      第63回 日本生物工学会大会
    • 発表場所
      東京農工大学
    • 年月日
      2011.9.26-29
  • [学会発表] DYNAMIC KINETIC RESOLUTION OF AMINO ACID ESTERS IN ORGANIC MEDIA USING ENZYMATIC RACEMASATION COMBINED WITH HYDROLYSIS2011

    • 著者名/発表者名
      Tatsuro Kijima, Takashi Yamada, TetsuyaTakano, Tomomi Chiba, Satoshi Murakami, Bunpei Hatano and Norimasa Ohya
    • 学会等名
      The 14th Asian Chemical Congress 2011 (14 ACC)
    • 発表場所
      クイーンシリキットナショナルコンベンションセンター (バンコク市, タイ王国)
    • 年月日
      2011.9.03-10

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公開日: 2013-07-10  

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