研究課題/領域番号 |
23510277
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
佐藤 慎一 京都大学, 物質-細胞統合システム拠点, 助教 (70534478)
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キーワード | X線結晶構造解析 / ケミカルバイオロジー |
研究概要 |
本研究では、生理活性小分子化合物レンチノロールとアフィニティー精製により同定した3種類の標的タンパク質(S100A11、S100A13、S100A16)との複合体の三次元構造の決定を目指してきた。それぞれ3種の標的タンパク質は,大腸菌発現系を利用して大量調整した。タンパク質は,6Hisフュージョンタンパク質として発現しており,精製はニッケルカラムによるアフィニティー精製後,イオン交換クロマトグラフィー・ゲルろ過により行った。タンパク質の精製純度は,SDS-PAGE解析により95%以上であることを確認している。それらのリコンビナントタンパク質を利用してタンパク質結晶の作製を試みた。良質な共結晶を得るために、予めタンパク質結晶を作製後、レンチノロールをドープする方法を用いた。3種類の標的タンパク質はすべてX線結晶構造が明らかとなっているため、結晶化条件が分かっているが、報告通りの結晶化条件ではタンパク質結晶が得られなかった。そこで、これまでに報告のある条件に加え、1000種の結晶化剤(沈殿剤)から適切な結晶化条件のスクリーニングを行い、結晶形成初期に見られるタンパク質結晶のシードを得ることができた。今後、本結晶化条件をもとに最適な結晶化条件を見出し、良質のタンパク質結晶を作製する予定である。得られた共結晶を用いて最終目的であるレンチノロール-標的タンパク質複合体の共結晶の作製・X線立体構造解析を試みる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究目的に利用している生理活性化合物のレンチノロールの水溶液溶解性が低いため、レンチノロール-標的タンパク質複合体の共結晶作製は極めて困難であった。しかしながら、タンパク質結晶を作製後、レンチノロールをドープすることによる共結晶作製法の選択が功を奏し、タンパク質結晶のシードを得るに至った。最終年度に目標を達成できる目処がたった。
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今後の研究の推進方策 |
本研究はタンパク質結晶構造解析の権威であるアメリカ・ヒューストンのQuiocho教授ラボと共同で研究を進めている。連携を取りながら効率的に研究を推進する。 3種類すべての標的タンパク質(S100A11, S100A13, S100A16)に対してタンパク質結晶化条件をスクリーニングした結果、S100A11, S100A13において良好な結晶シードが得られた。今後、これらの研究条件を最適化し、タンパク質結晶を作製後、レンチノロールをドープすることにより共結晶の作製を目指す。
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次年度の研究費の使用計画 |
タンパク質作製および精製に使用する試薬・器具類、タンパク質の結晶化に必要な試薬・器具類、およびレンチノロールの追加合成のために必要な試薬・器具類など、消耗品購入に利用する。
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