研究課題/領域番号 |
23510280
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研究機関 | 富山県立大学 |
研究代表者 |
磯貝 泰弘 富山県立大学, 工学部, 准教授 (00201921)
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キーワード | アシラーゼ / 抗生物質 / エキノキャンジン / ホモロジーモデリング / ドッキング計算 / 変異体設計 |
研究概要 |
クオラムセンシング酵素PvdQの結晶構造をテンプレートとして作製したアクレアシンAアシラーゼ(AAC)の立体構造モデルとその基質アクレアシンAのドッキングモデルを、セファロスポリンアシラーゼの(CA)とその基質glutaryl-7-amino cephalosporanic acid(GL-7-ACA)のドッキングモデルと比較することにより、AACとCAそれぞれの基質認識メカニズムについて有力な仮説を得た。すなわち、これらのアシラーゼ酵素は、蛋白質コア中に形成された特徴的な結合部位により、基質のアシル側鎖を認識しており、AACには、アクレアシンAの長いアシル側鎖を格納する細長い結合ポケットが存在している。一方、CAは比較的浅い結合ポケットを持ち、GL-7-ACAの短いアシル側鎖は格納出来るが、アクレアシンAのアシル側鎖は結合出来ない。これらの知見に基づいて、CAのアシル基結合ポケットの底部に存在するPhe残基(F177(β))を小さなアミノ酸に置換することにより、ポケットの奥行きを深くすることを試みた。このような複数のCA変異体遺伝子を、野生型のCA遺伝子から変異プライマーを用いたPCR法により作製した。これらの変異体遺伝子を大腸菌に導入し、酵素の発現と精製を行った。得られた変異体CAおよび野生型CAについて、GL-7-ACAおよびアクレアシンAを基質として活性測定を行った。その結果、CA変異体F177(β)Gは、 GL-7-ACAに対する活性が低下し、アクレアシンAに対する活性の増加が検出された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
AACのホモロジーモデルを用いて、アクレアシンAを基質としたドッキング計算を行い、野生型CAの結晶構造を用いた計算結果と比較することにより、AACとCAの基質認識が異なる構造化学的な理由を見出した。この考察に基づいてCA変異体の設計と合成を行い、アクレアシンAに対して活性が増大した変異体酵素が得られた。
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今後の研究の推進方策 |
前年度までに得られた研究成果に基づいて、さらなる変異体酵素の設計と合成を行い、AACとCAの基質認識の違いの構造化学的な理由について実験的検証を行う。さらに、キャンジン系抗生物質生産に利用出来るような活性の高い変異体酵素の取得を試みる
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次年度の研究費の使用計画 |
主に、変異体酵素作製用の合成オリゴDNAやPCR試薬、液体クロマトグラフィーカラムなどの消耗品を購入する予定である
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