今後の研究の推進方策 |
薬剤処理した細胞の核抽出液中のSTAT3によるDNA結合活性(ELISA法)や細胞イメージアナライザーを用いたSTAT3の核内移行の解析について条件検討を行い、ベンダムスチンや今回新たに阻害活性が見出されたシスプラチンについて、細胞系でのSTAT3阻害活性を検証する。おそらくこれらの薬剤は共通のシステインをアルキル化していることが推測される。アルキル化部位の同定を目的として、STAT3の二量化において重要なSH2ドメイン及びその近傍に存在する5か所のシステイン(Cys687, Cys712, Cys468, Cys550, Cys542)を選択しアラニン置換体を調製する。これら変異体に対する薬剤の感受性及び結合活性を検討することにより、アルキル化部位を同定予定である。また、既に合成済みのビオチン化ベンダムスチンを解析用ツールとして用いることにより、細胞内STAT3へのこれら薬剤の作用、及びSTAT3以外の標的タンパク質の可能性についても検討を行う。ベンダムスチン同様に臨床で優れた抗腫瘍効果を示しているシスプラチンがSTAT3に直接作用することも新たに見出しており、今後シスプラチンによる作用機序も併せて作用機序解析を進め、新規抗がん剤のデザインと創出に活かす予定である。
|