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2011 年度 実施状況報告書

オーキシンの極性輸送系に特異的なケミカルツールの開発

研究課題

研究課題/領域番号 23510285
研究機関岡山理科大学

研究代表者

林 謙一郎  岡山理科大学, 理学部, 教授 (30289136)

研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2014-03-31
キーワード植物ホルモン / オーキシン / 極性輸送
研究概要

植物ホルモンであるオーキシンは極性をもって輸送され,胚形成や光・重力屈性などの重要な成長分化を調節する.オーキシンの極性輸送の詳細な分子機構は,依然として不明である.オーキシンの輸送については,環境変化に対応するオーキシン濃度勾配のダイナミックな変化を観察することは極めて重要であり,その解析のために,ケミカルバイオロジーによるアプローチで,オーキシン輸送に関する研究に取り組んだ.すなわち,本年度は,1.細胞のオーキシン輸送のライブイメージング,2.細胞レベルでのオーキシン濃度の人工制御を可能とする新しいケミカルツールの開発を目的として研究を展開した.1.については,蛍光オーキシンアナログを分子設計し,IAAとNAAにリンカーを介して蛍光基を導入した.15種の蛍光オーキシンアナログを合成し,蛍光顕微鏡で蛍光オーキシンアナログの動的な蛍光像を評価・解析した.それらのうちいくつかが,オーキシンの分布を反映すると考えられる蛍光像を与えた.2.については,細胞内オーキシン濃度を,光照射で3次元制御するために,2光子励起が適応可能なケージドオーキシンを分子設計した.そのため,2光子励起が可能なニトロインダリン(MNI)をケージド基としたケージドオーキシン(MNI-IAA)を合成した.このMNI-caged auxinの光分解能の評価も検討した.その結果、光照射によりIAAが遊離することを確認できた。今後は,光解離離反応の詳細を検討し量子効率などを求める。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

1.オーキシン輸送タンパクの分子機構の解明,2.細胞のオーキシン輸送のライブイメージング,3. 細胞レベルでのオーキシン濃度の人工制御を可能とする新しいケミカルツールの開発を達成することを研究課題としている.初年度では,ケミカルツールとなる化合物のリード構造の探索と化学合成に重点を置いて,研究課題を推進した.その結果,1.については,まだ,満足するケミカルツールの分子設計は達成できていないが,2.と3.に関するケミカルツールについては,それぞれ蛍光オーキシンアナログとケージドオーキシンを分子設計でき,それらは,ほぼ満足できる性能を示した.また,蛍光オーキシンアナログについては,2回の学会発表を行うことができ,ほぼ計画通りに研究目的は達成しつつあると言える.

今後の研究の推進方策

これまで,ほほ計画通りに研究成果は達成されており,今後とも,計画調書に基づいて研究を推進していく予定である.ただし,オーキシン輸送タンパクの分子機構の解明については,より一層の研究推進が必要と思われる.今後,研究成果を発表していくために,論文発表とともに国際学会でも研究成果を発表する.

次年度の研究費の使用計画

予定していた消耗品の使用額が3万円程度,平成23年度の当初の計画より少なかった.このため次年度に計画調書の記載の消耗品と合わせて使用する計画である.

  • 研究成果

    (10件)

すべて 2012 2011

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (6件)

  • [雑誌論文] Rational design of an auxin antagonist of the SCF TIR1 auxin receptor complex.2012

    • 著者名/発表者名
      Hayashi K, Neve J, Hirose M, Kuboki A, Shimada Y, Kepinski S, Nozaki H
    • 雑誌名

      ACS Chemcal Biology

      巻: 7 ページ: 590-598

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Transcription of DWARF4 Plays a Crucial Role in Auxin-Regulated Root Elongation in Addition to Brassinosteroid Homeostasis in Arabidopsis thaliana.2011

    • 著者名/発表者名
      Yoshimitsu Y, Tanaka K, Fukuda W, Asami T, Yoshida S, Hayashi K, Kamiya Y, Jikumaru Y, Shigeta T, Nakamura Y, Matsuo T, Okamoto S
    • 雑誌名

      PLoS. One

      巻: 6 ページ: e23851

    • 査読あり
  • [雑誌論文] The main auxin biosynthesis pathway in Arabidopsis.2011

    • 著者名/発表者名
      Mashiguchi K, Tanaka K, Sakai T, Sugawara S, Kawaide H, Natsume M, Hanada A, Yaeno T, Shirasu K, Yao H, McSteen P, Zhao Y, Hayashi K, Kamiya Y, Kasahara H
    • 雑誌名

      Proceedings of the National Academy of Sciences

      巻: 108 ページ: 18512-18517

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Alkoxy-auxins are selective inhibitors of auxin transport mediated by PIN, ABCB, and AUX1 transporters.2011

    • 著者名/発表者名
      Tsuda E, Yang H, Nishimura T, Uehara Y, Sakai T, Furutani M, Koshiba T, Hirose M, Nozaki H, Murphy AS, Hayashi K
    • 雑誌名

      Journal of Biolgical Chemistry

      巻: 21 ページ: 2354-2364

    • 査読あり
  • [学会発表] オーキシンの輸送・分布を可視化・制御するケミカルツール2012

    • 著者名/発表者名
      林謙一郎
    • 学会等名
      日本植物生理学会第53回年会
    • 発表場所
      京都産業大学(京都)
    • 年月日
      2012年3月17日
  • [学会発表] 植物ホルモン・オーキシンの光による投与制御2012

    • 著者名/発表者名
      林謙一郎,山崎壮真,野崎浩
    • 学会等名
      日本農芸化学会中四国支部 第32回講演会
    • 発表場所
      鳥取大学(鳥取)
    • 年月日
      2012年1月21日
  • [学会発表] オーキシンの信号伝達・輸送に関するケミカルバイオロジー2011

    • 著者名/発表者名
      林謙一郎
    • 学会等名
      第46回植物化学調節学会
    • 発表場所
      宇都宮大学 (栃木)
    • 年月日
      2011年11月1日
  • [学会発表] 細胞内オーキシン分布の可視化に関する研究-IAAのリアルタイムイメージング2011

    • 著者名/発表者名
      福永紫穂,青山卓史,野崎浩,林謙一郎
    • 学会等名
      第46回植物化学調節学会
    • 発表場所
      宇都宮大学 (栃木)
    • 年月日
      2011年11月1日
  • [学会発表] ABP1特異的リガンドの合成と生物活性2011

    • 著者名/発表者名
      山崎壮真,Stefan Kepinski,Catherine Perrot-Rechenmann,野崎浩,林謙一郎
    • 学会等名
      第46回植物化学調節学会
    • 発表場所
      宇都宮大学 (栃木)
    • 年月日
      2011年11月1日
  • [学会発表] 植物の生理学研究に有用なバイオプローブ分子の開発2011

    • 著者名/発表者名
      林謙一郎
    • 学会等名
      関西創農薬研究会(招待講演)
    • 発表場所
      キャンパスプラザ京都 (京都)
    • 年月日
      2011年10月14日

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公開日: 2013-07-10  

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