研究課題/領域番号 |
23510286
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研究機関 | 鈴鹿医療科学大学 |
研究代表者 |
定金 豊 鈴鹿医療科学大学, 薬学部, 教授 (60293304)
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研究分担者 |
大塚 功 九州保健福祉大学, 薬学部, 講師 (20389589)
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キーワード | 光反応 / プロテーム / 分析化学 / バイオテクノロジー / 質量分析 / コンフォメーション病 |
研究概要 |
DNA結合タンパク質の網羅的な解析法、クローニング法を開発することをめざし、光反応基ジアジリンを利用したchemical biologyの新技術とバイオテクノロジーとを融合した光化学的パニング法、並びに高感度機器分析法である質量分析技術と融合させた方法を開発することを目的とした。H23年度の研究実績であるモデルタンパク質POUとの結合実験をベースとして、H24年度は、申請書の計画に従い【計画②】光化学的パニング法を利用したDNA結合タンパク質のクローニング法の開発と、【計画③】光反応性ユニットの新規開発と質量分析法を利用したクローニング法の開発について実施した。以下、H24年度の研究実績について示す。 【計画②】DNA結合タンパク質としてモデルタンパク質として計画①で利用したPOUタンパク質を提示するファージを作成した。これに結合するDNA配列であるoctamer DNAをもつ光反応性DNAを利用しパニング実験を行った。光反応部位が異なるいくつかの光反応性DNAを利用したり、光反応基の種類などを変化させたりしたがパニングの効率が上昇しなかった。提示ファージに何らかの問題がある可能性が考えられる。 【計画③】モデルDNA-タンパク質の複合体として計画①で実績のあるPOUタンパク質と光反応性octamer DNAを利用して、質量分析法に利用しやすいキャッチ&リリース型の解析法の開発を試みた。発現したPOUタンパク質のペプチドマッピングで質量分析装置(Bruker microTOF-Q(四重極))の感度が十分であることを確認した。切断可能な部位を導入した切断効率の高い光反応性DNAの作成に注力している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
光反応性ペプチドを利用した光化学的パニング法は従来法の1000倍以上の効率が得られた方法であるが、光反応性DNAを利用したパニングでは予想外に効率が悪く、ライブラリーのスクリーニングに適応できないことが、遅れている理由である。質量分析を利用したクローニング法に注力し、遅れを挽回する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
申請書に従い、次の計画を実行しDNA結合タンパク質のクローニング法の確立に注力する。 【計画③】光反応性ユニットの新規開発と質量分析法を利用したクローニング法の開発 質量分析法に適した切断型の光反応性DNAを利用して、DNA結合タンパク質のクローニング法を確立する。これらの実験を通して、機能的なツールの開発と実験ノウハウを蓄積する。 【計画④】 コンフォメーション病の脳疾患時でのDNA結合タンパク質の変化のプロファイリング 脳疾患に関連するDNAモチーフについて反応性DNAを作成し、核抽出液から関連するDNA結合タンパク質が見つけられるような方法を確立する。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度使用額は13.7万円である。これには1年目の繰り越し金7万円あまりも含まれている。実験の一部が計画通りに進まなかったために、繰り越し金が発生した。 次年度の研究費は申請書にある通りに、光反応性リガンド作製費、遺伝子解析消耗品費、核抽出液作製消耗品費、電気泳動・検出消耗品費、質量分析用消耗品費等の研究を実施するために必要な消耗品を中心に使用する予定である。
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