研究課題
分泌タンパク質であるソニックヘッジホッグ(Shh)は、正常な胚発生に必須なタンパク質であるが、基底細胞腫、骨芽細胞腫、膵臓癌などの癌細胞においてShhシグナル伝達経路の異常な活性化が報告されている。Shhは、45kDaのShhから活性型の20 kDaのN末端断片(ShhN)への自己切断、C末端へのコレステロール修飾、N末端へのパルミテート修飾が起こり、細胞外に分泌される。腫瘍細胞から分泌されたShhNが、腫瘍細胞の周囲に存在する間質細胞のShhシグナル伝達経路を活性化させ腫瘍の成長を誘導するため、Shhシグナル伝達経路は抗がん剤の標的として非常に注目されている。構造多様性を有している天然化合物、天然物化合物誘導体を固定化したケミカルアレイを用いて、Shhに結合しシグナル伝達経路を阻害する化合物の探索を目的とした。ShhNタンパク質を用いたケミカルアレイスクリーニングにより、ShhNに結合する化合物の探索を行った。ShhNタンパク質として、Hisタグ融合タンパク質またはタグを持たないタンパク質を用い、抗His抗体または複数の抗ShhN抗体により検出を行い、約3万化合物の中から322種のShhN結合候補化合物を見いだした。これらの中の、再現性があると思われる、2つ以上の抗体で検出された48化合物について、SPRイメージングによるShhNとの相互作用解析を行った。その結果、9化合物においてShhNとの強い結合が確認され、それらの解離定数は、6-60 nMの範囲であった。次に、ShhN処理により骨芽細胞への分化が誘導されるマウス未分化間葉細胞C3H10T1/2細胞を用いて、9化合物の効果を調べたところ、5化合物においてShhN阻害活性を確認した。
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