研究課題/領域番号 |
23510293
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
淺野 玄 岐阜大学, 応用生物科学部, 准教授 (30377692)
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研究分担者 |
羽田 真悟 帯広畜産大学, 畜産学部, 助教 (40553441)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 外来生物 / アライグマ / 避妊 / ワクチン |
研究概要 |
本研究の最終目標は,野外で実用化しうる野生化アライグマに対する避妊化ワクチン開発である。しかし,実用的なワクチン開発には本申請研究期間の3年にとどまらず,継続した研究が必要であろう。本研究はワクチン開発に向けた基礎研究として位置づけており,本申請期間では,(1)配偶子膜の合成蛋白のうち避妊効果をもたらす抗原の決定,(2)免疫試験による飼育個体への避妊効果の検証,(3)他の在来種への避妊効果発現のリスク評価,を主な目的としている。 研究初年度の23年度は,避妊効果をもたらす抗原(卵透明帯蛋白質に着目)の決定に関する研究に着手した。卵透明帯糖蛋白質の遺伝子配列を明らかにするため,他種動物の遺伝配列を参考にしてプライマーを作成し,アライグマの卵巣サンプルを用いたRT-PCRを行いアライグマの卵透明帯糖蛋白質の部分的遺伝子配列を明らかにした。イヌ-アカギツネの透明帯蛋白質の遺伝子配列に基づいたプライマー1種,イヌ-オコジョの遺伝子配列に基づいたプライマー2種を作成し,その内の1種のプライマーで,アライグマの透明帯糖蛋白質遺伝子の増幅に成功した。増幅した遺伝子を用いてキャピラリーシーケンサーによる塩基配列同定を試みたところ,同定範囲における他種動物との相同性はオコジョと90%,イヌと88%,ネコと86%であった。さらに,アライグマ透明帯糖蛋白質の全長配列を同定するため,同定された範囲の配列に基づいて作成したプライマーを用いて5’および3’RACEを行い全長cDNAを得た。これらの実験は共同研究者が所属する帯広畜産大学における成果であり,研究代表者においても同様の研究を進めている段階である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
全体的に研究がやや遅れていると言わざるを得ない。その理由は,本研究を開始するにあたり当初計画していた調査地が東日本大震災の影響によって予定通りの調査が実施できなかったことがあげられる。加えて,研究協力者の一人であった大学教員が不慮の事故によって他界したため,実験計画の修正が必要となったことも,実験の遅れに繋がってしまった。
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画では,卵透明帯蛋白質と精子細胞膜蛋白質を避妊化ワクチンの抗原候補として実験を進めることを考慮していた。しかし,上記のとおり震災などにより実験計画の遅れや実験環境の制限が生じているため,より有望視される卵透明帯蛋白質に抗原候補を絞って研究を推進することとする。 具体的には,アライグマからの卵巣の採材と卵透明帯蛋白質遺伝子の解読について,24年度以降も継続をする。解読が完了した後,リコンビナント蛋白を作成し,これをウサギに免疫して抗体を精製する。得られた抗体と標的器官(卵巣)との結合性を免疫組織化学染色により確認ができたら,飼育アライグマに投与して抗体価の上昇や避妊の確認などにより避妊効果を検証する予定である。ただし,アライグマの飼育を予定していた岐阜大学の実験動物施設において改修工事計画があり,工事の進行状況によっては異なる飼育施設(動物園など)の確保やそこでの投与実験を強いられる可能性がある。 このように,実験の実施にあたっては,申請時とはことなる状況変化があるものの,避妊化ワクチン開発の基礎データを得るべく,適切に実験を進める方針である。
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次年度の研究費の使用計画 |
予定していた実験が計画通り進まなかったこともあり,23年度の研究費使用は予定よりも50万円ほど減額であった。24年度以降,順次実験を進めて適切に研究予算を執行する。 24年度も引き続きアライグマからの卵巣採材を行うため,捕獲個体回収に予定していた野外調査費用は23年度に実施できなかった調査も含めて実施する。得られた材料を用いて卵透明帯蛋白質の遺伝子解析や合成蛋白作成に関わる消耗品費用の執行も行う。動物実験に関しては,23年度は飼育実験関連の消耗品(飼育ケージや棚など)経費の執行はできなかった。現段階では利用予定の実験施設改修の計画が確定しておらず,24年度中の執行が可能か否かは不明である。工事などによって実験施設が利用できなった場合は,他の飼育施設(動物園など)を利用した実験に必要な旅費や消耗品の購入費用として執行する可能性もある。また24年度は,避妊化ワクチン抗原候補の合成ペプチドに対する抗体作製の動物実験(ウサギ)への研究費執行を予定している。さらに,協力研究者との情報交流を目的に,申請当初から計画してあったニュージーランドの研究施設の渡航を予定である。
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