研究課題/領域番号 |
23510293
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
淺野 玄 岐阜大学, 応用生物科学部, 准教授 (30377692)
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研究分担者 |
羽田 真悟 帯広畜産大学, 畜産学部, 助教 (40553441)
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キーワード | 外来生物 / アライグマ / 避妊 / ワクチン |
研究概要 |
本研究の最終目標は,野外で実用化しうる野生化アライグマに対する避妊化ワクチン開発である。実用的なワクチン開発は本申請研究期間の3年で完了できるものではなく,継続した研究が必要と考えている。本研究はワクチン開発に向けた基礎研究として,(1)避妊効果をもたらす卵透明帯蛋白抗原の決定,(2)免疫試験による飼育個体への避妊効果の検証,(3)他の在来種への避妊効果発現のリスク評価,を主な目的としている。 研究2年度目の24年度までに,避妊効果をもたらす抗原(卵透明帯蛋白質に着目)の決定に関する研究を遂行している。卵透明帯糖蛋白質の遺伝子配列を明らかにするため,他種動物の遺伝配列を参考にしてプライマーを作成し,アライグマの卵巣サンプルを用いたRT-PCRを行いアライグマの卵透明帯糖蛋白質ZP3の全遺伝子配列を明らかにすることに成功した。 また,今後は,ZP3の遺伝子配列のうちで,卵と精子の受精に関係すると考えられる「精子-卵結合部位」を含む合成蛋白質を作成して,ウサギへの免疫を行う段階にすすんでいる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
全体的に研究がやや遅れている。その理由は,本研究調査地として計画していた地域における東日本大震災の影響が残っていることや研究協力者の一人であった大学教員の他界による影響が大きいことにある。上記の影響は,次年度以降も続くものと思われるため,研究計画を見直す予定である。
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画では,卵透明帯蛋白質と精子細胞膜蛋白質を避妊化ワクチンの抗原候補として実験を進めることを考慮していたが,より有望視される卵透明帯蛋白質に抗原候補を絞って研究を推進した。アライグマからの卵巣の採材と卵透明帯蛋白質遺伝子の解読が完了したことから,リコンビナント蛋白を作成し,これをウサギに免疫して抗体を精製する段階にある。25年度の早い時期に免疫を開始し,得られた抗体と標的器官(卵巣)との結合性を免疫組織化学染色により確認をする予定である。飼育アライグマに投与して抗体価の上昇や避妊の確認などにより避妊効果を検証することが出来れば理想であるが,本学の動物実験施設の補修などにより特定外来生物アライグマの飼育は極めて困難な状況にあるため,実施は不透明な状況にある。限られた状況ではあるが,再来年度以降の継続研究に向けて,避妊ワクチン開発の基礎研究成果を蓄積する。また,25年度には成果の発表も予定している。
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次年度の研究費の使用計画 |
予定していた実験が計画通り進まなかったこともあり,24年度の研究費使用は予定よりも少ない支出となった。動物実験に関しては,24年度は飼育実験関連の消耗品(飼育ケージや棚など)経費の執行はできなかった。現段階では利用予定の実験施設改修の計画が確定しておらず,25年度中の飼育ケージなどの物品費の執行が可能か否かは不明である。今後,ウサギあるいは飼育アライグマへの免疫実験を予定しているため,最終年度に向けた予算が必要となる。また,本学でアライグマの飼育が不可能となった場合には,学外の飼育施設での実験のための旅費・調査費が必要となる。また,ニュージーランドの協力研究者との研究打合せなどのために海外渡航を予定している。
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