藻類共生性ホヤの分布-1: 昨年度、海洋島における藻類共生性ホヤの分布を把握するため、小笠原(父島、母島)、ハワイ(オアフ島カネオヘ)、南大東島で採集調査を行った。Diplosoma simileは上記全ての採集地で、Trididemnum cyclopsは小笠原と南大東島で採集されている。ここで採集されたDiplosoma simileとTrididemnum cyclopsについてCOIの部分配列による分子系統解析を行い、形態と分子の両方から種同定を行なうとともに、形態及び塩基配列の種内変異をまとめた。両種は分散力が高く、海水温上昇に伴って高緯度域に進出する可能性が高い。本研究はAquatic Invasionに発表した。藻類共生性ホヤの分布-2: 昨年度南大東島で行った藻類共生性ホヤの分布調査を取りまとめた。分布記録は沖縄生物学会誌にて発表した。 藻類共生性ホヤの分布-3: 緑島(台湾)において採集調査を行ない、これまで久米島のシンリ浜でのみ記録されているLissoclinum miduiを発見した。形態およびCOIの部分配列による分子系統解析の両方から種同定を行なった。本研究はMarine Biodiversity Recordsに投稿中。 流れ藻と分散:昨年度10月から沖縄島東岸の漁港で流れ藻の毎月採集を行い、付着する藻類共生性ホヤの有無を調査したところTrididemnum cyclopsが確認された。本種は南大東や小笠原でも記録されており、分散力が高いと考えられており、漂流物による長距離分散の可能性が支持された。 Terpios hoshinota幼生孵化の微細構造:フィールドにおける幼生放出が確認されている緑島(台湾)で海綿と幼生の採集に成功し、組織学的・微細構造学的観察を行った。
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