本研究では、各地で消滅しつつある狩猟活動の維持と生成にかかわる人びとに焦点をあて、「新しい狩猟活動の生成」の実態と地域資源の持続可能な利用をエチオピアと日本を比較しながら検討した。エチオピアでは観光など野生動物資源の非直接的な利用が増え、担い手が多様化する一方で、日本では狩猟のニーズが増し、野生動物資源の科学的管理の重要性が増していたが、地域社会とのかかわりが希薄化しているという共通点がみられた。両地域ともに、地域社会と野生動物との関係性を維持するような「住民参加型保全」の具体的なとりくみが不可欠であり、伝統/非伝統にかかわらず狩猟活動を持続的に展開させる政策が重要であることを示した。
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