近年オーストラリアでは、歴史研究が停滞する一方で、歴史の社会的な意味はますます大きくなりつつある、すなわち歴史的なテーマやイメージがさまざまな文化活動に浸透している。一般的に多くの政府は、国民に対する実質的な便益を削減しながら、自国中心的な歴史を国民に提供することで、精神的な代替物を提供しようとする。オーストラリアも例外ではなく、連邦レベルで初の統一歴史カリキュラムを導入した。本研究は、その経緯をグローバリゼーションとの関係を踏まえて、明らかにすると同時に、それとは異ったかたちで社会にある一般の人びと歴史意識を、地方の歴史博物館を研究することで分析した。
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