研究課題/領域番号 |
23510316
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研究機関 | 兵庫県立大学 |
研究代表者 |
原田 一宏 兵庫県立大学, 環境人間学部, 准教授 (00372087)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 気候変動緩和 / REDD+ / 森林保全 / 地域住民 / 国立公園 / 東ジャワ / インドネシア |
研究概要 |
本研究の目的は、地球温暖化対策として精力的に森林管理に取り組んでいる国、特にインドネシアを対象として、国レベルの気候変動政策が慣習的に森林とともに暮らしてきた地域社会にどのような影響を及ぼすのかということを検討することである。今年度はインドネシアを訪問した。また、マダガスカルについては今まで収集した情報や追加情報の整理をした。 2011年3月に、REDD+プロジェクトが継続的に実施されているインドネシア・東ジャワ州のメルベティリ国立公園を訪問し、現地のNGOスタッフや住民に対する聞き取り調査を実施した。ここではその研究成果について概説する。現在、この国立公園内の4000haのリハビリテーションゾーンがREDD+プロジェクトのサイトとなり、活動が実施されている。この土地はもともとジャワ島に国営林業公社が設立された際、チークの生産林として管理されていた地域である。1982年にはこの土地の管理主体が国営林業公社から国立公園へと移行し、今日に至っている。当時住民参加によってここに植えられたチーク林が、1998年のスハルト政権崩壊時に伐採されてしまったが、その後、その植生を回復することを目的として住民参加による植林活動が実施された。この活動がREDD+プロジェクトとして国に認められ、ITTOや企業の支援を受け、プロジェクトが継続的に実施されている。現在のところ、ここで実施されているアグロフォレストリーの恩恵を受けて、地域住民は農作物からの収益を得ている。 今までインドネシアの国立公園では地域住民の活動が一切禁止されてきたが、この事例では、新たな法制度の設定によって住民が公園管理に関与し、森林保全が可能となっていることが明らかになった。今後継続的にこのプロジェクトの状況を把握することは、気候変動緩和、住民への便益、森林保全が同時に実現可能なモデルを構築する上で有益であると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、インドネシアのREDD+に関連する文献をサーベイするとともに、当初計画していたインドネシアでの現地調査を3月に実施し、関連する二次データを収集し、関係者へのインフォーマルインタビューを実施することによって、REDD+プロジェクトの概要を把握することができた。この研究成果は学会で発表するとともに、国際セミナーでも発表した。また、現地の状況は共同研究をしている現地NGOから継続的に入手している。これらの調査データをもとに、投稿論文(日本語)のドラフトをすでに作成した。 また、現在、現地NGOの協力を得て、地域住民に対する質問表を用いてのフォーマルインタビューを実施中である。調査内容や対象村や対象者の選定については、報告者が3月にインドネシアを訪問した際に打ち合わせをした後調査を開始した。調査は6月には終了する予定である。 マダガスカルに関しては、博士課程の留学生とともに、マダガスカルにおけるREDDプロジェクトを取り上げて調査研究をし、その成果は報告者の指導のもと、博士論文として完成させた。それと同時に、研究成果を学会や国際セミナーで発表するとともに、投稿論文(英語)として公表した。 一方、REDD+をめぐる国際動向については、東京で実施された関連セミナーなどに参加はしたものの、その変化が急速なために十分な情報が得られていないのが現状である。
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今後の研究の推進方策 |
インドネシアの調査研究に関しては、上記にあるように、現在共同研究者とともに現地での聞き取り調査を実施中である。その調査結果を分析しまとめた後に、上記の投稿論文(日本語)と差別化できそうであれば、投稿論文(英語)としてまとめる予定である。また、今年度、報告者自身は現地には赴かないものの、共同研究者を通じて継続的に現地の情報を収集する予定である。 また、インドネシアのREDD+の動向を把握するために、現地でのREDD+の動向に精通している日本の研究機関に所属する日本人研究者にも協力してもらい情報を収集する予定である。この成果は研究ノートなどとしてまとめたい。 国際的なREDD+の動向については、本年に引き続きできるかぎり東京で実施されるセミナーに参加したり、関連学会に参加したり、インターネットなどを通じてCOPの動向を検索して、情報収集に努めたい。ベトナムに関しては、当初はベトナムでの現地調査を実施する予定であったが、国際的にも国内的にもREDD+の進歩状況は非常に早く、本年度研究を進めていくうちに、インドネシアと平行してベトナムでの詳細な情報を収集するのは困難であることが明らかになった。そこで、本調査ではインドネシアとベトナムの2国に研究対象地を分散するよりも、インドネシアに特化して詳細な現地調査をするほうが有益だと考えた。現在、今後の研究の方向性を若干変えるべきかどうか検討している。
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次年度の研究費の使用計画 |
本年度の3月に実施したインドネシアでの現地調査では、当初の予定以上の経費を要した。その理由は年度を隔てて、現在実施している現地でのフォーマルインタビューにかかる経費などが必要であったためである。そこで、本年度で不足したこの出張旅費の支払いについては、本年度の残額分(5,054円)と次年度の予算(60万円)を使用することにしていた。3月の国内出張についても、同様に次年度予算を使う予定であった。ただし、現時点では、これらの出張旅費の支払いが遅れているために未払いである。これらの未払い分を除いた、残りの次年度予算は、研究に必要な物品の購入や国内旅費に使用する。
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