研究課題/領域番号 |
23510318
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研究機関 | 島根県立大学 |
研究代表者 |
江口 伸吾 島根県立大学, 総合政策学部, 准教授 (20326408)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 現代中国 / 基層社会 / 農村 / 物権法 / 所有権改革 |
研究概要 |
平成23年度は、初年度の研究目的として、本研究に関連する文献資料を精読し、主として研究状況を整理することに主眼を置いた。とくに、『郷鎮論壇』(民政部)等の中国国内の学術雑誌や研究書、『人民日報』『新華日報』等の新聞資料、Jean C. Oi ed., Going Private in China: The Politics of Corporate Restructuring and System Reform, Walter H. Shorenstein Asia-Pacific Research Center Books, 2011. 等の欧米諸国の新たな研究論文・研究書等を収集・精読し、本研究に関連する基礎的な研究状況を整理した。 また、海外でのヒアリング調査に関しては、北京において、農村・都市の基層社会の研究者にヒアリング調査を行い、農村・都市における社会変化に伴う所有権改革の実態と問題点に関する論点を整理した。 以上の研究活動を踏まえて、2011年10月21日、島根県立大学で開催された、北京大学国際関係学院・島根県立大学・合同国際シンポジウム「転形期における中国と日本―その苦悩と展望―」において、「社会主義市場経済体制下における基層社会の近代化と所有権改革-『物権法』と転形期の政治社会-」と題する報告を行い、2007年の「物権法」の成立が基層社会における所有権改革に如何なる影響をもたらしているかを考察した。とくに、都市部の社区建設過程における業主委員会の活動、農村部における土地収用に関わる農民の権利意識の醸成についての現状と課題を論じた。また、都市部の社区建設における所有権改革の動向について、その一端を「現代中国における都市の社区建設と社会管理―山東省の事例を中心に―」『総合政策論叢』第23号、島根県立大学総合政策学会、2012年3月、所収、で公表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成23年度は、当該研究に関連する文献資料を精読し、主として研究状況を整理することを目的とした。とくに、『郷鎮論壇』(民政部)、『改革内参』(国家発展和改革委員会)等の中国国内の学術雑誌、何一鳴『産権管制放松理論―験証于中国的農地制度変遷(1958~2008年)―』(中国経済出版社、2010年)をはじめとする中国国内の研究書、並びに『人民日報』『新華日報』等の中国の新聞資料、『アジア政経』(アジア政経学会)等の日本国内の研究論文・研究書、Jean C. Oi ed., Going Private in China: The Politics of Corporate Restructuring and System Reform, Walter H. Shorenstein Asia-Pacific Research Center Books, 2011. 等の欧米諸国の新たな研究論文・研究書等を収集・精読し、本研究に関連する基礎的な研究状況を整理した。 これらの研究活動の成果として、2011年10月21日、島根県立大学で開催された国際シンポジウム「転形期における中国と日本―その苦悩と展望―」において、「社会主義市場経済体制下における基層社会の近代化と所有権改革-『物権法』と転形期の政治社会-」と題する報告を行い、また、都市部の所有権改革について「現代中国における都市の社区建設と社会管理―山東省の事例を中心に―」『総合政策論叢』第23号、島根県立大学総合政策学会、2012年3月、所収、でその一部を公表し、所期の目的を達成し、おおむね順調に進展した。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度以降、現代中国の所有権改革に関して、海外でのレクチャーの受講・ヒアリングを行い、その研究成果の発表を行うことを目的としている。平成23年度と同様に、『郷鎮論壇』(民政部)、『改革内参』(国家発展和改革委員会)等の中国国内の学術雑誌や新たな研究書、並びに『人民日報』等の新聞資料、日本・欧米諸国の新たな研究動向の整理を続けるとともに、中国現地での研究者や都市・農村の基層政権幹部へのヒアリング調査を行い、資料収集を行う。これらの研究活動を踏まえて、平成25年度には、学会・研究会報告および論文作成という形で、研究成果を公表する。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度は、海外でのレクチャーの受講・ヒアリングを行い、その研究成果の発表を行う。具体的には、以下のような手順で研究費を使用する。 (1)平成23年度と同様、『郷鎮論壇』(民政部)、『改革内参』(国家発展和改革委員会)といった雑誌資料、並びに『人民日報』『新華日報』等の新聞資料、その他の新しく刊行される文献資料を精読し、逐次新たな研究状況を確認する。また、国内の各図書館で蓄積されている資料収集も継続的に実施する(⇒物品費、旅費)。(2)これと並行して、申請者の分析方法を問い直す作業を行う。とくにJean c. Oiなどによる欧米諸国の政治社会学的方法論と中国の実証研究の総合を図るため、島根県立大学北東アジア地域研究センター、成蹊大学アジア太平洋研究センターを通して、方法論・事例研究に関する研究会やヒアリングを実施する(⇒旅費)。(3)ヒアリングの議論の上に、8~9月にかけて、前年度の調査を踏まえて、再度中国でレクチャーの受講とヒアリングを行う。その際、とくに北京市、上海市・江蘇省といった東部沿海地域の資料収集を行う(⇒旅費、謝金)。(4)海外でのヒアリング調査を実施後、研究補助の協力を得ながら、資料整理を行う(⇒謝金、その他)。(5)また、収集した資料を基にして、再度方法論を再検討し、各種の研究会で報告する(⇒旅費、その他)。(6)以上の研究活動を整理し、平成24年度の研究成果を公表する(⇒旅費、その他)。
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