平成25年度は、本研究プロジェクトの最終年度の研究目的として、①本研究に関連する文献資料を収集・精読して研究状況を整理しながら、②学会・研究会報告および論文作成という形で、研究成果を公表することに主眼を置いている。 資料収集では、これまでと同様に、『郷鎮論壇』(民政部)、『社区』(民政部)といった雑誌資料、並びに『人民日報』『新華日報』等の新聞資料を整理するとともに、王俊豊『集体建設用地使用権流転問題研究』(経済科学出版社、2013年)、呉敬璉・張維迎等『改革是最大政策』(東方出版社、2014年)などの新しく刊行された文献資料を精読し、逐次、研究動向を確認した。 以上の研究活動を踏まえて、2014年2月14日、島根県立大学で開催された北京大学国際関係学院との合同国際シンポジウム「中国式発展の独自性と普遍性―『中国模式』の提起をめぐって―」において、「現代中国の国家建設と『公民社会』のガバナンス―近代化のプロセスと基層社会の変容を焦点にして―」を報告し、その成果の一部を公表した。この報告では、都市部の基層社会における所有権改革が、社区建設のプロセスにおける多様な利害関係を創出し、「社区協調理事会」をはじめとするコーポラティズム的な利害調整を行う統治システムが漸進的に構築されていることを明らかにした。 なお、本研究で進めた現代中国の基層社会研究の動向を整理し、「菱田雅晴編著『中国-基層からのガバナンス』法政大学出版局、2010年(書評)」(『中国研究月報』Vol.67 No.4(No.782)、一般社団法人中国研究所、2013年4月、所収)を公表した。
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