本研究では、福建省の台湾政策を通じて、中国における中央・地方関係と政策実施上の地方政府の裁量について考察した。台湾関連事項については、中央の決定した政策が各地方政府に一律適用される。その中で、台湾との交流拠点を自負する福建省は、近年、両岸経済交流を活性化しており、その一部については中央からの政策支援を得ている。本研究は、福建省による台湾政策への関与の状況を検証し、省主導の両岸経済交流と省内の経済開発との関連性、省の両岸関連プロジェクトにみられる計画と実態の乖離、中央・地方間および省内で台湾政策への取り組みに相違がみられることを明らかにした。
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