研究課題/領域番号 |
23510320
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研究機関 | 常磐大学 |
研究代表者 |
中岡 まり 常磐大学, 国際学部, 講師 (80364488)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 国際情報交流 / 中国 |
研究概要 |
本研究の目的は、中国共産党が指導する選挙過程と選挙民の投票行動を分析し、選挙制度を通じた共産党統治の変容の可能性を明らかにすることである。 平成23年度は、選挙法改正の経緯について情報収集を行い、北京での聞き取り調査を行った。また、先行調査の再分析として、2006年選挙に関して行ったインタビュー調査の結果を"Roles of the People’s Congress under the Authoritarian Regime-From Acquiring Legitimacy of Control to Expressive Interests"としてまとめ、米国でのワークショップ、SMU-Keio Workshop on Chinese Politics-Political Participation in Contemporary Chinaにて報告を行った。北京市社会科学院の雷研究員との協議を経て調査票を作成し、11月には北京で開催された直接選挙の投票所4か所での観察を行い、12月にアンケート調査を実施した。平成24年3月に調査結果を入手した。 今年度の研究実績の意義としては、1200人に及ぶアンケート調査を実施し、中東のジャスミン革命に端を発する民主化革命の影響を受けたとされる中国での選挙における市民の意識を知る手がかりを得たことがあげられる。同時に、立候補した10名の候補者たちのインタビューも得られた。これらは中国でも日本でも未公開の情報であり、民主化に対する中国共産党の恐れと対策の方向性を知ることができる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成23年度に予定していた直接選挙におけるアンケート調査、インタビュー調査の実施を無事に遂行した。サンプル数1200人のアンケート調査の結果、10名のインタビュー調査の結果を予定通り得ることができ、また、投票当日に投票所4か所を観察し、その他の投票所や単位につきインタビューで情報を得ることができたため、おおむね予定通り順調に進展していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度はアンケート調査、インタビュー調査と資料をもとに、中国側の北京市社会科学院雷研究員と中国人民大学孫龍副教授と意見交換を行いつつ、分析と研究を進める。当初予定していたアンケート調査のデータ分析に加えて、2011年の選挙においては中東革命の影響を受け「微博」と呼ばれる中国版ツイッターによる情報交換・情報共有が多くなされたことから、こうした資料の収集も行わねばならないと考える。 8~9月の間に上述の雷研究員と孫副教授を日本に招聘し、データ分析の結果について意見交換を行う予定である。10月に開催予定のアジア政経学会において分析結果をまとめて報告を行いたいと考えている。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度は、書籍などの物品購入のため5300円を計上し、旅費としては分析結果の妥当性を確認するため訪中し、意見交換を行うために1名が5日北京を訪問する予定で191000円を計上している。次年度は補足調査を行う可能性を予測し、補足調査費を計上していたが、データ分析の結果、十分であれば、中国側との意見交換のための費用として使用したい。次年度は補足調査を行う可能性を予測し、補足調査費を計上していたが、データ分析の結果、十分であれば、中国側との意見交換を行うため、中国からの専門家の招聘を増やし、当初予定の2名に加えてることも考えたい。 今年度は次年度使用額が3637円生じた。これは必要な物品購入を行った結果、余りが生じたものである。
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