本研究では、中国共産党が指導する選挙過程と選挙民の投票行動を分析し、選挙制度を通じた共産党統治の変容の可能性を明らかにすることを目的としてきた。研究の結果明らかになったのは、主に以下の3点である。 第一に、党の選挙過程に対するコントロールが強化される一方で、選挙により得られる支配の正当性は限定的なものとなる傾向にあること。第二にロジスティック回帰分析の結果、投票者が有権者としての意識を持ち始めていること、第三に党のコントロールが暴力的な形を取り始めたことが示すように、多元化する市民の利益言表出要求に対する共産党の柔軟な適応能力が低下していることである。
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