本研究は、ハルハ河・ノモンハン戦争(ノモンハン事件)をめぐる中ソ、中モ交渉の真相を明らかにすることを目的とした。2013年度は、研究代表者が研究目的に沿って、モンゴル国立中央文書館、中国内モンゴル自治区フルンボイル市文書館、台湾の国家図書館などの文書館、図書館で資料を収集したほか、モンゴル国のドルノド県、中国のフルンボイル地域のノモンハンの戦場で現地調査をおこなった。また、4名のモンゴル国の参戦者に聞き取り調査を実施した。さらに、2013年9月16日から19日までに、モンゴル防衛研究所、モンゴル国境警備総局と共同でモンゴル国ドルノド県ハルハゴル郡で国際シンポジウム「ハルハ河(ノモンハン)戦争の歴史的研究:記録と戦場」(The International Symposium “The Historical Studies of the Khalkyn Gol (Nomonkhan) Battle: Records and Memories of the Battle Fields”)を実施した。 本研究の成果として、本年度は、論文集『ハルハ河・ノモンハン戦争と国際関係』(三元社、2013年)を出版したほか、「ハルハ河・ノモンハン戦争における日本軍捕虜についての基礎的研究――モンゴルで発見された日本軍捕虜の資料を中心に」等2本の論文と1本のインタビュー記録を学術雑誌に掲載し、さらに上記の国際シンポジウムで「ハルハ河・ノモンハン戦争における中国の対日諜報活動」を発表した。主に新たに発見された関係諸国の歴史記録に基づいて、ノモンハン戦争とかかわった諸国、諸民族、北東アジア地域をめぐる地政学的特徴等を考察・検討し、さらに、これまで知られていない、同戦争でモンゴルに抑留された日本人捕虜のことも解きあかした。
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