研究課題/領域番号 |
23510328
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
三澤 真美恵 日本大学, 文理学部, 教授 (90386706)
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キーワード | 映画 / 台湾 / 韓国 / 香港 |
研究概要 |
本研究の三つの目的(①国立台湾歴史博物館所蔵の植民地期映画フィルム史料の採録データ公開、②同データを利用した分野横断的な研究可能性の提示、③東アジア他地域との共同研究による植民地期映画フィルム史料の多角的研究モデルの構築)に即して、2013年度は後掲の通り招待講演による合同研究会1回、ゲスト招聘による定例研究会1回を実施したほか、研究代表者は調査出張3回を行った。 【合同研究会】日本大学文理学部人文科学研究所総合研究「東アジアの情報統制と地域間・メディア間におけるテキスト変容に関する総合的研究」との合同研究会2013年4月15日、講演者とテーマ:Olivier Wieviorkaオリヴィエ・ヴィヴィオルカ(フランス学士院メンバー、カシャン市フランス国立高等師範学校歴史学教授)「フランスにおける第二次世界大戦の記憶:ステイクとアプローチ」。 【定例研究会】2013年4月20日、報告者と報告テーマ:晏尼アン・ニ(明治学院大学研究員)「満州映画館の変遷と日本映画の上映」、李敬淑イ・ギョンスク(日本学術振興会特別研究員PD)「帝国と植民地の女優――戦時下日本・朝鮮映画における女優表象の比較研究」 【調査出張】2013年7月4日‐11日米国公文書館、2013年7月21日‐25日香港電影資料館・香港政府档案處、2013年7月25日‐29日台湾国家電影資料館・台湾国家図書館
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度に引き続き、欧米圏および東アジア圏から講演者・報告者を招聘した。これらの講演・報告により、東アジア植民地期映画フィルム史料研究を時間的に空間的に連続する文脈のなかで考察する視野が広がったと同時に、将来的な対話のネットワークが形成された。米国、香港での各アーカイブでは、植民地期台湾映画フィルム史料と植民地支配終了後の冷戦期におけるメディア統制との連続性についても、初歩的な調査を実施した。いっぽう、映画フィルム史料の採録データ校正については、映像資料のキーワード整理に伴う項目の見直しが昨年度の段階で問題となっていた。この点について、今年度はこの分野で一定の成果を収めている台湾国家電影資料館(フィルム倉庫)を訪問し、フォーマットの簡略化、キーワードの絞り込みに関して具術的なアドバイスを得た。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の三つの目的のうち①(国立台湾歴史博物館所蔵の植民地期映画フィルム史料の採録データ公開)については、昨年度の課題だった採録項目の見直しに関して今年度の調査で技術的な解決への見通しを得たので、最終年度である次年度は一定のデータ公開を目指したい。②(同データを利用した分野横断的な研究可能性の提示)および③(東アジア他地域との共同研究による植民地期映画フィルム史料の多角的研究モデルの構築)についてだが、研究代表者は2014年4月末に台湾の台北芸術大学、同年7月初旬に韓国の高麗大学で、それぞれ早期映画史研究の方法論、映画フィルム史料への歴史学的なアプローチという、本研究と関連性の高い国際シンポジウムでの研究報告を予定している。研究代表者による本研究の成果の一部を公開すると同時に、東アジア各地の研究者と連携を図る。同時に、本研究の基礎となる資料調査をさらに進めるとともに、独自の成果を検討するような国際ワークショップも実施する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
年度末に複数のゲスト報告者を招聘しての定例研究会を予定していたが、最終的な日程の調整がつかず次年度に実施することに変更した。 上記のように実施時期を変更した定例研究会の経費(招聘するゲスト報告者の旅費・謝金)にあてる予定である。
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