研究課題/領域番号 |
23510329
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研究機関 | 文化学園大学 |
研究代表者 |
糸林 誉史 文化学園大学, 服装学部, 教授 (60301834)
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研究分担者 |
高田 知和 東京国際大学, 人間社会学部, 教授 (70236230)
林 在圭 静岡文化芸術大学, 文化政策学部, 教授 (80318815)
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キーワード | 民俗服飾 / 地域社会 / フォークロリズム / 沖縄 / 韓国 / マレーシア / 伝統的工芸品 / 織物 |
研究概要 |
本研究は、沖縄・韓国・マレーシアの地域社会における、民俗服飾の近代化/復興の過程に纏わる文化の多層性と流用という問題を、①生活史・地域組織、②地方史・自治体史誌、③開発政策・文化政策の3つの局面と、その相関から、質的分析手法を活用して、整理・分析して描出し、民俗服飾研究の新展開を提示することを目的とする。また本研究の意義は、日本の民俗服飾研究に学際的な地域研究アプローチと理論を導入することで活性化すること、高齢化の進む織物従事者の口述データや個人資料、自治体史誌には収録されない民俗服飾関係の団体資料などの質的分析と蓄積、地域研究分野に質的分析(QDA)ソフトウエアを導入するための基礎的条件の提示である。 第一に、自治体史・地方史と編纂事業、地域史誌に関する調査。第二に、地方行政組織と織物に関する行政施策に関する調査。第三に、地域博物館・美術館・資料館のと刊行物の調査を実施した。 各調査地とも国による重要無形文化財指定が契機となり、技能保持者の生活支援、博物館の建設、工房の整備、後継者養成制度が整備されたことがわかった。また婦人会・生活改善運動を主導していた女性たちが織物の復興において担い手となったことがわかった。さらに近年では、地域祭りを通じての織物をシンボルとした観光化、ブランド化の強化、生産組合制度の整備・転換による生産者への利益配分の見直しがみられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
自治体史や地方史の編纂に関わる人々の口述記録および地方行政組織の未刊行の一次資料を収集しすることができた。またそれらを質的分析ソフトウエア(ATLAS.ti)を導入して、調査成果の途中成果をまとめることができた。 しかし、各分担者が多忙、あるいは調査対象者の都合がつかず、一部の本調査の第二局面の調査項目(マレーシア、韓国)の聞き取り調査が未実施となっている。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度は、本調査の第三局面として「開発政策・文化政策」の調査研究を実施する。 1、開発計画と文化政策:民俗の文化財化、政府(県・道・州)レベルの経済/地方開発計画および文化財/世界遺産行政に関する聞き取り/資料調査。沖縄振興開発計画と「伝産法」、文化財行政の史的展開、開発政策と国民文化の構築、文化財助成制度、調査事業。 2、文化の商品化と観光:文化財の観光化、工芸品の流通制度、文化資源の商品化。地域祭りと政策、商品化のヘゲモニー、再日常化。 3、団体・企業の文化事業:民俗の芸術化、公募展・出版事業、コレクション。 4、補充調査、調査対象者や団体の都合で延期となっている聞き取り調査を実施する。また共同研究会で指摘された問題は、補充調査によって解決する。
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次年度の研究費の使用計画 |
本年度は、沖縄、韓国、マレーシアの各調査地において、自治体史・地方史と編纂事業、地域史誌に関する調査。第二に、地方行政組織と織物に関する行政施策に関する調査。地域博物館・美術館・資料館のと刊行物の調査を計画していた。 しかし、分担者の多忙、また調査対象者および団体との日程の都合がわるく、韓国とマレーシアについて第二局面の調査対象者および調査項目の聞き取り調査が実施できなかったため。 平成26年度は、マレーシアトレンガヌ市において、自治体史・地方史と編纂事業、地域史誌に関する調査、および地方行政組織と織物に関する行政施策に関する調査。また、韓国舒川郡において、自治体史・地方史と編纂事業、地域史誌に関する調査。および地方行政組織と織物に関する行政施策に関する調査をそれぞれ実施する。
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