研究課題/領域番号 |
23510333
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
西 芳実 京都大学, 地域研究統合情報センター, 准教授 (30431779)
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キーワード | 海外出稼ぎ労働者 |
研究概要 |
(1)インドネシア人海外出稼ぎ労働者に関する新聞・雑誌記事を収集し、デジタル化したうえで記事ごとに地名との関連付けを行い、インドネシア人労働者問題の地理的分布を把握するための基礎的なデータ作成を行った。 (2)インドネシアやマレーシアで制作される商業映画作品の中で在マレーシア・インドネシア人やマレーシアの非合法移民、インドネシア・マレーシア間の越境的なネットワークがどのように表象されているかを踏まえて、雑誌『地域研究』(第13巻第1号)で東南アジア社会の混成性に注目した特集に参加し、論文2本を発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
(1)東マレーシア(サバ州)でのインドネシア人コミュニティに関する現地調査と、インドネシア(ジャカルタ)における現地調査を行なった。サバ州では、コタキナバル市周辺在住のインドネシア人子弟に対するインドネシア人学校を通じた教育サービスの提供と、州内に散在するアブラヤシ農園のインドネシア人労働者子弟に対する教育サービスの提供の二つの展開が見られ、双方について聞き取りならびに資料収集を行った。 (2)インドネシア人海外出稼ぎ労働者に関する新聞・雑誌記事を収集し、デジタル化したうえで記事ごとに地名との関連付けを行い、インドネシア人労働者問題の地理的分布を把握するための基礎的なデータ作成を行うことができた。 (3)2012年度は、サバ州における非合法移民の実態調査のための王立調査委員会設立(2012年8月)や、「スールー王国軍」のサバ州侵入事件(2013年3月)というように、マレーシアにおける外国人コミュニティの対応が問われる事件があり、インドネシア人コミュニティの反応や、インドネシア共和国政府の在マレーシア国民に対する対応について情報収集することができた。
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今後の研究の推進方策 |
(1)引き続きサバ州(マレーシア)とジャカルタ(インドネシア)で現地調査を行う。その際には、王立調査委員会によるサバ州非合法移民の実態調査報告や、「スールー王国軍」のサバ州侵入事件後の展開に留意する。 (2)インドネシア人出稼ぎ労働者に関する新聞・雑誌記事のデジタル化ならびに基礎的データベースの作成を継続する。関連する地名にもとづく記事分類により、マレーシア国内における移民問題の地域的特徴の抽出をめざす。 (3)2013年5月に実施されるマレーシア総選挙の結果、マレーシア政府の対移民政策や対インドネシア政策の変容に留意する。
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次年度の研究費の使用計画 |
(1)移民関係図書と新聞・雑誌記事一式をそれぞれ購入する。 (2)マレーシアにおける移民・難民受け入れに関する新聞記事(1970-2010)資料の電子化作業と基礎的データベースの作成を行なう。 (3)サバ州(マレーシア)とジャカルタ(インドネシア)で現地調査を行う。現地調査にあたっては、車両を借り上げて移動するほか、現地協力者に専門的知識の提供を受ける。 (4)最終年度にあたる平成25年度は、国際会議で研究発表を行ない、当該社会との研究成果の共有をはかる。その際、謝金により英文校閲を行なう。
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