研究課題/領域番号 |
23510335
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研究機関 | 追手門学院大学 |
研究代表者 |
山口 公一 追手門学院大学, 国際教養学部, 准教授 (20447585)
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キーワード | 韓国・朝鮮 |
研究概要 |
(1)「帝国史」研究の成果をふまえ、従来、1930年代以降の植民地期朝鮮における「統合」政策が、地域や職域という二重の展開をした戦争動員によって、朝鮮社会や地域社会を植民地権力側に取り込むことを一定可能としたのは、「民衆や社会を包摂する帝国支配秩序」が「統合」を促す前提として存在していたためである。本研究では、こうした「秩序」を、当該期の地域社会における「秩序」維持法令の運用実態と朝鮮社会や民衆の対応事例に重点をおいて、あぶり出すことをねらいとした実証的な地域研究である。平成24年度においては、以下のように、資料調査・収集とその整理を行った。 (2) 前年度に引き続き、韓国及び日本国内の図書館・文書館の目録・インターネットを利用した「府会議録」等、地方行政機関関連資料の所在基礎調査を行った。 (3) 基礎調査に基づき、日本国内及び韓国ソウルにおける「道会議録」「府会議録」等の地方行政関連資料の調査・収集および整理を行った。韓国においては、主に国家記録院などを中心に、京畿・江原・咸南・忠北・咸北・忠南・黄海・全南・平南・慶北・平北の各道における行政官庁の「府尹郡守会議報告書綴」など地方行政関連資料を収集・整理した。日本国内においては、石川県立図書館所蔵の小倉文庫での調査により、海外神社関連史料14点を収集・整理した。 (4) ソウルでの調査では、韓国における地方行政関連の研究書・資料の収集を行った。 (5) 以上の調査の成果の一部として「石川県立図書館所蔵小倉文庫の海外神社史料について」(追手門学院大学国際教養学部アジア学科編『アジア学科年報』第6号、2012年12月)を執筆した。また、辞典の一項目である「「帝国」日本と植民地」(歴史科学協議会編『戦後歴史学用語辞典』東京堂出版、2012年)を執筆した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
史資料の調査・収集作業は順調であるが、収集した史資料が非常に大量であり、その整理と分析にやや遅れがある。そのため論文執筆という形での成果発表が遅れていることにも留意しておきたい。
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今後の研究の推進方策 |
(1)これまで同様、平成25年度においても、韓国・日本に存在する関連史料を収集・整理する。韓国での調査は従来通り行うものの、一方で、日本国内における史資料の調査・収集に努める。 (2)同時に、収集した史資料の整理のペースを上げ、論文執筆につながるデータ分析を進める。 (3)収集した史資料の電子化を検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度からの繰り越しについては、追加調査(史資料収集・整理にかかる旅費等)や論文執筆にかかる書籍代など諸費用に充当する予定である。
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