研究課題/領域番号 |
23510340
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
幅崎 麻紀子 山形大学, 男女共同参画推進室, 助教 (00401430)
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研究分担者 |
佐藤 斉華 帝京大学, 文学部, 准教授 (10349300)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | ネパール / クォータ制 / ポジティブアクション / ジェンダー / 文化人類学 |
研究概要 |
本年度は、ネパールにて留保政策・ポジティブアクションについての資料を収集すると共に、学識経験者やジャーナリストとの意見交換、及び、国会議員へのプレインタビューを行った。研究代表者の幅崎は2012年1月に現地に滞在して資料収集、聞き取り調査、学識経験者からクォータ制によって当選した女性議員の活動状況についての社会的な評価を聞くと共に、クォータ制のインパクトについての意見交換を行った。研究分担者の佐藤は2012年3月に現地にて、既存文献資料の収集を行うと共に、ポジティブアクションによる女性の仕事と生活への影響について、学識経験者と意見交換を行った。 プレインタビューは、当初計画した政党の中から2つ政党の女性議員2名へ、家族構成と現在の生活状況、家族との関係、議員に至る経緯等を中心に行った。プレインタビューからは、各議員とも長い経緯があって議員に至っており、それらのライフヒストリーの聞き取りのために長い時間を費やす必要があることがわかった。それゆえ、本調査にて、ライフヒストリーと現在の活動や家庭環境の双方について聞き取る場合、複数回に分けてインタビューを行うよう日程調整をしていきたい。 また、学識経験者からは、国会議員のみならず、政府関係機関や地域社会の意思決定組織の状況も把握すると、政策における「女性」を対象としたポジティブアクションの位置づけがわかるとのアドバイスを得た。 プレインタビューで得た知見、及び学識経験者からのアドバイスをもとに、平成24年度は収集した文献資料の分析に着手すると共に、聞き取り調査票を作成し、国会議員及び政党へ半構造的インタビューを本格的に開始する。更に政府関係機関や地方組織を訪問し、クォータ制の導入、及びその他のポジティブアクションについての実態とポジティブアクション導入によるインパクトについて、聞き取り調査を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度の研究は、ネパールにおいて、文献収集及び現地調査の遂行を主に行うものとして計画していた。しかし、当初9月に予定していた調査が、現地が自然災害(地震)に見舞われたため、1月に延期することとなったため、当初の計画よりも短期の調査とせざるをえなかった。しかし、短期間ではあっても、文献収集、意見交換、プレインタビューを行い、来年度の本格的調査に向けた準備を行っているので、来年度は早期に本格的調査に着手できる見込みである。
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今後の研究の推進方策 |
今後(来年度)は、23年度に収集した資料を整理・分析すると共に、聞き取り調査票を完成し、現地にて聞き取り調査を行っていくことが中心である。政党、カースト、民族、地方/都市等が多様になるように、各政党選出女性議員に数回のナラティブインタビューを行い、議員に至る経緯、議員としての活動、家族関係、地域社会との関係等について聞き取り調査を行うと共に、当該議員の活動に密着し、参与観察を行う。特に、家族との関係、政党との関係、地元との関係、他議員との関係に目配りすると共に、女性議員たちが持つクォータ制の認識についても聞き取りを行う。 更に、政府機関役職員等についても、ポジティブアクションの現状と課題について、聞き取り調査を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成23年度は自然災害の影響もあり、調査研究の遂行に遅れが生じたため、予算の一部を翌年度に使用することとなった。平成24年度は、研究を効率よく行うため、現地の女子大学院生を助手として雇用し、聞き取り調査の段取りを予め準備して進めると共に、複数回現地を訪問し、聞き取り調査のための時間を確保する。更に、フェイスブック等のソーシャルネットワーキングをも活用し、被調査者とのコンタクトを密にしながらデータ収集を行う。
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