研究課題/領域番号 |
23510340
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
幅崎 麻紀子 筑波大学, ダイバーシティ推進室, 准教授 (00401430)
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研究分担者 |
佐藤 斉華 帝京大学, 文学部, 准教授 (10349300)
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キーワード | ネパール / クォータ制 / ポジティブアクション / 女性の政治参画 / ジェンダー / 文化人類学 |
研究概要 |
平成24年度は、前年度に引き続き、ネパールにおいて留保政策とポジティブアクション関連資料を収集した。更に、学識経験者との意見交換を行うと共に、地方自治体を訪問し、ローカル社会における女性の政治参画とクォータ制をはじめとするポジティブアクション導入の実態についての調査を行った。 具体的には、平成23年度の調査の際に得た学識経験者によるアドバイスをもとに、国レベルのポジティブアクションのみならず、地域社会の意思決定組織における女性等の政治社会参画状況、及びクォータ制の導入状況を把握すべく、郡開発委員会/事務所、村開発委員会/事務所、地域社会において影響力を持つ保健委員会/事務所への聞き取り調査を実施した。その結果、女性コミュニティ保健ボランティアや地域社会において活動するNPOの女性たちが、開発委員会等に参加する機会を得ており、各委員会でも地域活動経験のある女性を積極的にリクルートを行っていること、そして、地域活動経験が女性たちの政治参画への自信を付けつつあることがわかった。その一方で、地域社会の政治参画へのポジティブアクションの際には、男性政治活動家の有力者のネットワークが活用されることが少なからずあり、「クォータといっても、男性の政治活動を支持する役目となってしまっている」と評価されている点が浮かび上がった。 国政レベルにおいては、平成24年5月に制憲議会が解散し、その後制憲議会選挙が実施されていないため、平成23年度にインタビューを実施し、カトマンズに居を構える元議員には、引き続き聞き取り調査を実施し、議会解散後の生活状況、現在の政治活動についてインタビューを実施した。地方出身の元議員は郷里に戻っている者も多く、解散後の聞き取り調査は滞っているため、平成25年度は引き続き、追跡インタビューを実施できるよう日程調整を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度の研究は、引き続き制憲議会議員へ行うことを計画していた。しかし、5月に議会が解散し、その後政治的混乱状況にあるため、議員との連絡が困難な状況もあり、当初の計画よりも遅れている。しかし、学識経験者のアドバイスを取り入れ、地域社会の意思決定組織における女性等の政治社会参画状況、及びクォータ制にも目を向けているため、本研究のテーマであるクォータ制の役割について、多角的な視点より掌握することが可能になっている。
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今後の研究の推進方策 |
これまでに収集した資料を整理・分析すると共に、本年度も引き続き、現地にて聞き取り調査を行う予定である。特に、地方レベルにおいて、政治参画への経緯、地域社会や家族関係との関係について補足データを収集すべく、当事者のみならず、家族へのインタビューも含めて実施する予定である。更に、男性議員や地域の男性リーダー等についても、ポジティブアクションへの意向について聞き取り調査を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度は議会解散の影響もあり、調査研究の遂行が遅れ、予算の一部を翌年度に使用することとなった。平成25年度は最終年度でもあるため、効率よく補足データ収集を行うべく、現地の女子大学院生を助手として雇用し、予め聞き取り調査の段取りを準備して、効率よく聞き取り調査を行う予定である。
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