研究課題/領域番号 |
23510340
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研究機関 | 大学共同利用機関法人情報・システム研究機構(新領域融合研究センター及びライフサイ |
研究代表者 |
幅崎 麻紀子 大学共同利用機関法人情報・システム研究機構(新領域融合研究センター及びライフサイ, 大学共同利用機関等の部局等, 准教授 (00401430)
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研究分担者 |
佐藤 斉華 帝京大学, 文学部, 准教授 (10349300)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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キーワード | ネパール / クォータ制 / ポジティブアクション / ジェンダー / ワークライフバランス / 文化人類学 |
研究実績の概要 |
平成26年度は、カトマンズとポカラにおいて、政治活動に参画している議員のみならず、クォータ制が導入されている行政機関で働く女性、及び女性の参画の著しい医療関係、教育関係の従事者を含めて、資料収集、及びアンケート調査、聞き取り調査、参与観察を実施した。その結果、多様な分野において女性の社会進出が進んだ理由として、クォータ制を始めとするポジティブアクションの影響が大きいということがわかった。特に、法制度によってクォータ制が明記されていることにより女性議員が誕生し、彼女たちによって更なるポジティブアクションを目指した運動が展開される流れができていることが明らかとなった。 さらに、本調査を通じて、社会参画によって女性の生活が著しく変化し、妻として母としての「女性役割」に少なからず影響を与えていることも明らかとなった。女性たちは、社会活動と女性役割との両立に葛藤しながらも、職務を遂行している。中でも育児(特に、母乳育児との両立や子どもが病気になった際のケア)との両立についての葛藤を訴える。しかし、夫や義母や実家のサポートを得ながら、仕事と家庭の両立を図っている。精神面において、夫や子ども、時には義父等、家族によって支えられているとの言説が多数見られた。また、クォータ制によって得たポストについては、同制度がきっかけで手にした職業であったが、それについての不満や悩みはなく、与えられた機会を実力として受け止め、自尊感情を持って仕事に従事している。 クォータ制をきっかけに、議員や公務員等のフォーマルセクターにおいて、女性の参画が進んだ。それをきっかけに、社会参画を果たした女性達は経済的な保証のみならず、自分自身への自信を得ることとなった。それを支えたのが家族であり、家族もポジティブアクションによって影響を受けていることが明らかとなった。
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