今年度は研究プロジェクトの最終年度であり、これまでの成果をまとめるとともに、研究で得られた成果の国際比較研究や社会的発信のために、海外の専門家を招聘し国際シンポジウムを開催した。主な研究内容と成果は下記にまとめたとおりである。 1。引き続き2013年度に韓国でスタートした新政権が女性家族省にどのような影響があったのかについて考察した。2008年の政権に引き続き保守政権が継承されたが、「女性」大統領が誕生したことによって、女性家族省には1年の暫定的な期間に限るが、プラスの影響を及ぼしたように考えられる。とりわけ、女性家族省の大臣に現職大統領の側近と言われる女性政治家が就任し、他の官庁と比べて安定的に女性家族省の政策が遂行されたことや、予算が増大したこと、また、女性に対する暴力の根絶が主な政策課題に挙げられたことがその根拠である。この点については今年から始まる次の研究プロジェクトで引き継いで考察を行う予定である。 2。全体の研究のまとめとして、韓国の考察を比較研究の中で位置づけるために、アジア各国のジェンダー主流化政策の専門家を招聘し、国策シンポジウム「変動期の東アジアにおけるジェンダー主流化ー現状と新たな挑戦ー」(2014年1月25日、東京国立近代美術館)を開催した。シンポジウムには、韓国、日本、ベトナム、台湾の研究者が参加し、各国の事情について報告した。シンポジウムは一般に公開され、研究者のみならず一般の参加者も参加し(90名弱)、議論を深めた。 3。韓国のジェンダー政策についての学術的な成果は、国際ジェンダー学会の学会誌に掲載された(2013年12月号)。
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